1. HOME
  2. ブログ
  3. 東三河懇話会の活動
  4. 広域連携事業
  5. 2021.07.16 第60回研究交流会

広域連携事業

2021.07.16 第60回研究交流会

1.開催日時

2021年7月16日(金)14時00分~15時30分

2.開催場所

豊橋商工会議所 4階 406会議室

3.講 師

一般社団法人日本自動車リサイクル機構 代表理事 酒井 康雄 氏

4.テーマ

「自動車リサイクルの実態と制度の課題」

5.参加者

30名

講演要旨

●団体概要と主な事業
一般社団法人日本自動車リサイクル機構(代表理事:酒井康雄)は、平成12年4月に任意団体とし発足し、平成21年6月に一般社団法人に移行、令和元年8月に法人名を現在の名称に変更した。会員数は495社で、使用済自動車の適正処理を通じて社会に貢献することを目的としている。事業(定款)は、次のとおり。
(1)自動車リサイクルに関係する全ての法令の情報収集と普及・伝達
(2)行政及び関連団体に対し、提言・要望
(3)自動車リサイクルに関係する事業の調査・研究及び業界の実態把握と充実
(4)使用済自動車の適正処理を推進するため、資格制度の充実を通じ、業界の地位向上と発展をはかり、次世代に引き継ぐ
(5)前各号に付帯又は関連する一切の業務
主な事業としては、「自動車リサイクル士制度」として2013年度より独自の資格認定制度として講習会を実施、また「共同出荷事業」としてコンピュータ基盤、エアバッグカプラー、センサー類(O2センサー、A/Fセンサー)、駆動用HVバッテリーの回収を行っている。
●解体業界の役割と事業活動
法律では、自動車製造業者等、取引業者、フロン類回収業者、解体業者、破砕業者の5つに分類されているが、解体業者は実態的に「取引業者、フロン類回収業者、解体業者」の3つの役割をプレイヤーとして担っている。
●自動車リサイクル制度
自動車リサイクル法は、自動車破砕残さ(ASR)の埋立処分の問題、エアバック類・エアコン冷媒のフロン類の処理問題、使用済自動車の逆有償化による不法投棄車両の大量発生などの問題について、適正は役割分担を通じて使用済自動車のリサイクル・適正処理を図るため、2005年1月1日から施行された。
●自動車リサイクル制度の課題
①マテリアルサイクルについて
非金属をASRとしてサーマル処理する仕組みのため、マテリアルリサイクルのインセンティブが働かない。
②預託方式による課題
新車購入時にリサイクル料金を預託するが、廃車までその料金が紐づけされている「自車充当方式」であり、新車から使用済自動車になるまで平均15.6年後に使われるリサイクル料金について、正確な算出が非常に困難である。
③リサイクル料金の負担者について
リサイクル料金の負担は、結局最終所有者が負担することになり、ユーザー間の不公平が生じている。あくまでも中古車として流通させることにインセンティブが働き、解体業者がリサイクル料金を負担する事態となっている。
④違法ヤード問題について
外国人経営のヤード(周囲が鉄壁等で囲まれた作業所等で、海外への輸出等を目的として、自動車等の解体、コンテナ詰め等の作業のために使用していると認められる施設)が全国的に広がってきており、海外に輸出する目的で部品取りするなど、業許可を受けていない無許可解体ヤード(違法ヤード)が存在している。現在、業許可を受けている業者と受けていない業者が混在しているが、許可業者のみを監理・監督する仕組みになっており、無許可業者を監視する仕組みはない。
違法ヤードは、リサイクルの高度化やCO2削減目標達成に妨げとなる、市場で適正な競争が働かず国内資源の流出につながる、不適正な処理によって有害物質の流出する、犯罪行為の温床となりやすいなどの問題点があり、一部の自治体にてヤードを取り締まる条例を制定する動きがある。

過去の掲載情報