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広域連携事業

2022.02.16 第62回研究交流会

1.開催日時

2022年2月16日(水)14時00分~15時00分

2.開催場所

豊橋商工会議所 508会議室

3.講  師

日本自動車輸入組合 副理事長 入野 泰一 氏

  テ ー マ

「JAIA活動と今後の輸入車市場の展望」

4.参 加 者

34名

講演要旨

自動車産業は100年に一度の電動化を始めとするCASE(Connected・Automated・Shared & Services・Electric)による大変革期にある。JAIA会員各社は、成熟し、競争の激しい日本の自動車市場において、世界の幅広い車種を取り扱うことによって、お客様に多様な選択肢を用意し、従来に増して積極的に燃費性の良い車両を日本市場へ導入している。特に、輸入EV・PHEVの販売台数は近年拡大傾向にある(2021年:EV2.6倍/PHEV1.5倍、輸入車先行)。JAIAは電動化推進のために、JAIAメンバーが一丸となってユーザー調査、認知向上のためのイベントなどに取り組んでいる。また、JAIA会員各社が、カーボンニュートラルの課題に対して、更なる電動車の販売拡大が求められており、絶え間ない企業努力を継続している。その環境下において、地域と連携強化(及び地域活性化)を図ることが必要である。
CASEは、2016年のパリモーターショーでダイムラーのCEOである、メルセデス・ベンツの責任者であるディーターツェッチェ博士によって提唱された。「コネクテッド・自動運転・シェアリング/サービス・電動化」これら4つのトレンドは、それぞれ業界を一変させる可能性を秘めているが、本当の革命は4つのトレンドを適切に結びつけることにある。
日本自動車輸入協会(JAIA)は、海外の自動車メーカーと直接輸入契約を結ぶインポーターによって構成され、輸入車市場の健全な発展にために、諸統計の作成、共同展示事業、技術情報の提供等の事業を行っている。近年は環境・安全問題を中心に、我が国自動車市場に関わる諸制度を海外自動車産業諸国との国際的調和を目指して事業活動に取り組み、我が国のモータリゼーションの健全な発展と経済の国際化に寄与するよう努めている。代表者は、理事長クリスチャン・ヴィードマン、会員数は四輪26社、二輪11社(2022年1月現在)である。
外国メーカー輸入車新規登録台数は、政府による輸入促進策(輸入促進税制、輸入車ショーなど)により1996年に324,973台と過去最高台数を記録したが、リーマンショックの影響により2009年に160,904台まで落ち込んだ。その後、ダウンサイジング化、パワートレイン多様化、幅広い先進安全装備の拡充により2018年に309,405台と過去2番目の登録台数を記録するまでに回復した。輸入ブランドのディーラー数は1,485店(2021年10月時点)にのぼり、「メルセデス・ミー」「ポルシェ・エクスペリエンスセンター」など、ブランド情報発信拠点としての新たな取り組みも見られる。
三河港における完成自動車輸入の歴史は、1988年に神野地区においてプジョーの輸入が始まり、その後、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、アウディ、フォード等の外国自動車メーカーが相次いで輸入を開始した。1993年に完成自動車の輸入が金額・台数共に日本一となり、その後現在に至るまで28年連続日本一の輸入自動車取扱港として確固たる地位を築いている。現在、国内で流通する輸入自動車の5割は三河港から陸揚げされている。
2021年外国メーカー輸入車新規登録台数は259,752台(1.4%増)で、2018年以来3年ぶりの増加。車名別では、メルセデス・ベンツが2015年以降7年連続で首位。価格帯別では、400万円以上1,000万円未満が116,980台で(1.7%増)、シェア45.2%となっている。2021年度の電気自動車(BEV)は、2019年以降3年連続増加の8,610台で、外国ブランド車全体に対するBEVシェアは3.3%となっている。JAIA会員が日本市場に投入したBEVモデルの数は、短期間で2倍の41モデルになっている。
外国ブランド車全体に占めるSUVのシェアは、2020年7月以降18ヶ月連続で40%を超えている。2021年の販売状況としては、各ブランドがSUVモデル/クロスオーバーモデルを積極的に投入し、輸入車販売を牽引した。概ね外国メーカー車全体の4割超を占めた。1,000万円以上の高価格帯の販売動向は、前年比23.0%増の27,928台となり、2016年以降6年連続の増加となった。
2022年は半導体不足に伴う新車供給の遅れなどのマイナス影響が当面継続するが、需給状況の改善や消費マインドの上昇により、年後半からは市場が回復基調となり、通年では2021年実績から改善するとともに、商品面では、JAIA会員各社による新型車や限定車の積極投入に加え、電動車やSUVなどのラインアップ拡大が販売増に寄与することを期待している。
JAIAは、自動車の電動化の波が急速に押し寄せていることを踏まえ、消費者がEV/PHEVを検討する上でのトリガーとバリアーを把握するためのユーザー調査を2020年秋に実施し、次の3点が明らかとなった。①輸入EV/PHEVに対するユーザー認知が十分でない。②特定のユーザー層への偏りがみられる。③充電インフラが充実していないことによるユーザー不安が生じている。
この結果を踏まえ、輸入ブランドEV/PHEVモデルの認知度向上を目的とした「JAIA輸入電動車普及促進プロジェクト」(電動車イベント、試乗キャンペーン、メディア提携)を実施し、認知度を高めることに成功した。
EV普及には、現時点では車両としての魅力向上や充電インフラの整備など、上流から下流まで様々な課題が存在している。都市部では乗用車の保有台数に占める輸入車の割合が高く、東京都港区の輸入車シェアは5割超である。JAIAとしての2022年度税制改正及び販売支援策の要望の重点ポイントは、複雑・過重な自動車関係諸税の簡素化・負担軽減等、自動車販売(特に電動車)への支援及び環境整備に関する要望(補助金の拡充等)である。また、ユーザーから見て使い勝手の良い充電インフラの適正配置も重要である。
CACEにおけるコネクテッドの事例としては、2023年開催予定のJAMA「東京モーターショー」、SDGs関連では2025年に開催される「大阪・関西万博」がある。また、地方活性化の事例としては、地方輸入車ショー、自動運転バスの社会実装への取り組み、三河港長期構想(案)の策定などがある。
自動車産業は100年に一度の電動化を始めとするCASEによる大変革期であり、大事な視点はイノベーション(グリーン&デジタル)とグローバル化である。具体例としては、現場主義(地域との連やユーザー視点)、グローバル人材、産業横断的取り組み(エネルギー・ITなど)が挙げられる。

※講演終了後、入野講師と選抜メンバーにて「三河港輸入自動車 意見交換会」を行った。

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