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広域連携事業

2022.06.29 第23期報告総会・記念講演会

1.開催日時

2022年6月29日(水)16時00分~17時30分

2.開催場所

豊橋商工会議所 4階 406会議室

3.講  師

国土交通省 中部地方整備局 三河港湾事務所長 鴫原 茂 氏

  テ ー マ

「港湾行政の動向と三河港の港湾整備事業について」

4.参加者

38名

開催案内(ダウンロード)

講演要旨

「港湾行政の動向と三河港の港湾整備事業について」をテーマに、お話しさせていただく。
◆「みなと」の役割~港湾が果たすもの~
 貿易を支える玄関口、産業の活動の場、地域の賑わい拠点、生命・財産を守る場である。
◆「みなと」と地域の発展
 人が「まち」に集まるように、物流・産業は「みなと」に集まる。港湾施設を整備することにより、「みなと」を取り巻く地域において正のスパイラルが発生する。
◆我が国の経済を支え、人口・産業が高度に集積する港湾
 日本の貿易量の99.6%が港を通じた海上輸送である。我が国の人口の約47%、全国の製造品出荷額等の約46%が、港湾所在市区町村であり、背後地は大都市やみなとまちで、物流・産業機能が高密度に集積している。
◆発電所・製油所や産業が集積する港湾
 CO2排出量の約6割を占める産業(発電所、製油所、製鉄所、化学工業)の多くは、港湾・臨海部に立地し、これらが使用する資源・エネルギーのほぼ全てが港湾を経由している。
◆世界と日本の貿易額の推移
 我が国の貿易額は増大傾向にあり、特に中国・韓国・台湾(1990年比4.8倍)やASEAN諸国(1990年比3.1倍)等のアジア諸国との伸び率が大きく、北米やヨーロッパ地域を上回る規模に成長している。
◆アジア主要港におけるコンテナ取扱個数
 1990年は、1位シンガポールが522万TEU、13位東京が156万TEUであったが、2020年は、1位上海が4,350万TEU、37位東京が475万TEUと大きな差がついている。
◆地域の基幹産業の競争力強化のための港湾整備
 海上輸送網の拠点として機能する港湾は、背後に産業集積が進み、地域の雇用と経済を支え、産業の国際競争力を向上させる重要な役割を担っている。民間投資の誘発や集積した産業の物流効率化等に資する港湾施設の整備を重点的に推進している。
◆国際バルク戦略港湾政策の推進
 バルク貨物を輸送する船舶は大型化が進展しており、大型船が入港できる港湾を拠点的に整備し、企業間連携による大型船を活用した共同輸送を促進することで、効率的な資源・エネルギーなどの海上輸送網の形成を図っている。
◆防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策
 「激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策」「予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策の加速」「国土強靭化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進」の柱に基づき、令和3年度から7年度までの5か年で重点的かつ集中的に対策を講ずる。
◆カーボンニュートラルポート(CNP)の取り組み
 水素・燃料アンモニア等の受入環境の整備、港湾オペレーションの脱炭素化、港湾地域の脱炭素化など、港湾においてエネルギーの供給・利用両面からの総合的な施策を推進し、我が国全体の脱炭素社会の実現に貢献する。
◆港湾区域内における洋上風力発電の取り組み
 令和2年9月、能代港、鹿島港、北九州港等を基地港湾に初めて指定。現在6港の占用予定者で計65万KwのFIT認定済み。
◆LNGバンカリング拠点の形成(伊勢湾における取り組み)
 JERA川越火力発電所を拠点とし、三河港田原地区のトヨタ車輸出においてShore to Ship方式による船舶向けLNG燃料供給事業を開始。令和2年10月、LNGバンカリング船「かぐや」へ初積込。
◆ブルーカーボン生態系(藻場・干潟等)の活用に向けた取り組み
 藻場の保全活動等によるブルーカーボンのCO2吸収量をクレジットとして認証し、取引を可能とする全国制度の構築に向けた試行の取組を実施中。
◆我が国の港湾へのクルーズ船の寄港状況
 2020年3月以降、外国クルーズ船の寄港はないが、日本を含む東南アジア以外では再開されている。
◆産地と港湾が連携した農林水産物・食品のさらなる輸出促進
 2030年の農林水産物・食品の輸出額を5兆円とする政府目標の達成に向け、生産者などにより策定された実施計画が認定された場合に実証実験への支援、民間の施設整備に係る支援を行うとともに、関連する予算の重点化を行う。
◆「みなとオアシス」制度の概要
 地域住民の交流や観光の振興を通じた地域の活性化に資する「みなと」を核としたまちづくりを促進するため、港湾局長が旅客施設、展望施設、多目的ホールなどの構成施設を登録するもの。三河港には「みなとオアシスがまごおり」がある。
◆港湾の軽石除去への対応(沖縄・運天港)
 港湾管理者(沖縄県)からの要請を受け、令和3年12月10日より港湾法第55条の3の3の規定により、国による運天港の港湾施設の一部管理を開始し、国・県合わせて約5万㎥の軽石を回収した。
◆中部地方整備局管内の主な港湾
 国際拠点港湾は、名古屋、四日市などの3港、重要港湾は、三河、衣浦などの6港の他、41港の地方港湾がある。
◆”ものづくり産業”が集積する中部
 製造品出荷額等323兆円のうち、中部圏は27%、88兆円を占める。三河港と衣浦港が位置する愛知県の製造品出荷額は44年連続全国1位(48兆円)である。
◆三河港の沿革~近年の発展の歴史~
 1940年代には約2,600haあった干潟は、埋立などの開発により、2000年頃には約1,500haまで減少。また、埋立用材として港内の土砂が採取され、その深掘り跡が貧酸素水塊の原因となっている。
◆三河港の沿革~干潟・浅場の造成~
 開発により消失した干潟や浅場を新たに創出するため、中山水道航路整備事業により発生した良質な浚渫土砂を活用して、干潟など620haを造成した他、深掘り跡への埋め戻しを行っている。
◆三河港の概要~臨海部立地企業~
 三河港には約640事業所が立地し、従業者は約34,000人。背後圏の生産、物流機能を支えている。
◆三河港の概要~港勢(取扱貨物量と主要品目)~
 取扱貨物量は年間1,843万トン(令和2年)、貿易額は約3兆955億円(令和3年)、自動車貿易台数は年間約97万台・世界第4位。(令和3年)。
◆三河港の概要~港勢(貿易額と完成自動車台数・金額)~
 完成自動車の輸出入台数は、コロナ禍の前までは伸びていたが、現在は伸び悩んでいる。
◆三河港の概要~港勢(完成自動車の輸出入シェア)~
 自動車の輸入額シェア、輸入台数シェアとも、29年連続全国1位である。
◆三河港で輸出入される自動車ブランド
 国内メーカー4ブランド、海外メーカー18ブランドを取り扱っている。
◆三河港の概要~港勢(コンテナ取扱貨物量と外航定期航路)~
 直近のコンテナ取扱貨物量は、3万TEUを下回る状況である。
◆三河港周辺の道路ネットワークの整備状況
 三遠南信自動車道、名豊道路・蒲郡バイパスの整備が進むとともに、浜松湖西豊橋道路の新規事業に向けた動きが本格化するなど、今後も三河港に繋がる道路ネットワークの拡充が見込まれる。
◆「三河港臨港道路・東三河臨海線」の検討
 臨港道路東三河臨海線(約10km)について、現状及び将来の三河港周辺の交通特性等を踏まえ、整備の必要性及び効果等について、検討を進めている。(港湾計画におけるルート変更など)
◆三河港の大型クルーズ船受入れ環境の整備~蒲郡地区~
 蒲郡地区において、自動車専用船の大型化への対応及びクルーズ船の受入環境の改善に向けた岸壁等の整備を進めている。
◆三河湾における水産業の概況
 愛知県は、全国一の漁獲量であるあさり類を始め、全国上位を占める魚種が多い。また、西尾市のうなぎ、豊川市のあゆなどの内水面養殖業も盛んであり、その生産量も全国上位である。
◆三河港背後圏における農産業の概況
 愛知県の農業産出額は全国8位(令和2年度)で、その内東三河地域で半分を占めている。
◆三河港における耐震強化岸壁の整備・計画状況
 三河港の耐震強化岸壁は、蒲郡9号岸壁、神野7号岸壁が整備済みで、今後、田原2号岸壁を耐震バース化する予定である。
◆三河港における主な実施中の事業
 コンテナ貨物及び完成自動車の取扱量増加に対応するために、神野地区及び蒲郡地区において、国際物流ターミナルの整備を進めている。また、ハード・ソフト両面から計画的、総合的な港湾施設の老朽化対策を進めている。
◆三河港の主な国事業~防波堤(北)の整備~
 8号岸壁前面の静穏度が向上し、より安全安心な船舶係留及び荷役が可能となるために、防波堤の整備を行っている。
◆三河港の主な国事業~神野地区岸壁(水深10m)(改良)~
 5か年加速化対策として、4号岸壁延長185mの補修改良を今年度から進めている。
◆三河港神野地区におけるふ頭再編事業の概要
 既存ストックの統廃合、機能の集約化や必要スペックの見直し等により、効率的なふ頭へ再編する。
◆三河港のトピックス~自然エネルギーを活用した発電所の立地状況~
 三河湾沿岸は、1年を通して安定した強い風が吹くことや日射量が多いことから、再生可能エネルギーを活用した発電所が多数立地している。
◆「三河港港湾計画改訂」の検討状況
 港湾管理者である愛知県では、令和元年度から次期港湾計画改訂に向けた検討を開始している。
◆三河港湾事務所「公式Facebook」のご紹介
 三河港湾事務所の取組や実施事業、「みなと」の役割に加え、三河港・衣浦港とその周辺地域でのイベント情報等についてお知らせしている。
以 上

過去の掲載情報