1. HOME
  2. ブログ
  3. 東三河懇話会の活動
  4. 広域連携事業
  5. 2021.03.25 第22期報告総会・記念講演会

広域連携事業

2021.03.25 第22期報告総会・記念講演会

1.開催日時

2021年3月25日(木)14時30分~16時00分

2.開催場所

豊橋市民センターカリオンビル 6階 多目的ホール

3.講師①

国土交通省 中部運輸局 交通政策部 環境・物流課長 薮田 丈夫 氏

  テーマ①

「物流施策を巡る動向について」

  講師②

日本貨物鉄道株式会社 東海支社 静岡支店長 二階堂 剛 氏

  テーマ②

「JR貨物の会社概要と今後の取組」

4.参加者

45名

講演要旨①

 日本の総人口は、2065年には8,200万人(その約40%が65歳以上)、生産年齢人口は2020年比で約3,200万人減となる見通しである。トラック業界をとりまく状況は、労働時間の長さ、年間賃金の低迷、人手不足、高齢化率の高さ、女性比率の低さなど、大変厳しい状況である。また、トラック運転者の1日の拘束時間は原則13時間であるが、荷待ち時間がある運行の平均拘束時間は13時間を超えている。日本のCO2の排出量のうち、運輸部門からの排出量は18.5%であり、自動車全体では運輸部門の86.2%(日本全体の15.9%)、貨物自動車に限ると運輸部門の36.6%(日本全体の6.8%)を排出している。
 総合物流施策大綱は、政府における物流施策や物流行政の指針を示し、関係省庁の連携により施策の総合的・一体的な推進を図るものとして、1997年4月に5年計画として閣議決定され、これまで6回にわたって策定されてきた。次期総合物流施策大綱は、令和3年春頃、閣議決定される予定。新型コロナウイルス流行による社会の劇的な変化もあいまって、我が国の物流が直面する課題は先鋭化・鮮明化された。それは、①物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化(簡素で滑らかな物流)、②労働力不足対策と物流構造改革の推進(担い手にやさしい物流)、③強靭で持続可能な物流ネットワークの構築(強くてしなやかな物流)である。
 自動車の運転業務への罰則付きの時間外労働の上限規制の導入(2024年4月予定)に向け、政府を挙げて長時間労働是正の環境整備、インセンティブ・抑止力の強化などの取組が協力に推進されている。深刻化が続くトラック運転者不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に寄与することを目的とし、①トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化、②女性や60代以上の運転者も働きやすい「よりホワイト」な労働環境の実現に取り組む「ホワイト物流」推進運動を関係者が連携して協力に推進している。
 「モーダルシフト」とは、CO2排出原単位の小さい輸送手段への転換を推進するとともに、温室効果ガスの削減による地球温暖化の防止並びに低炭素型の物流体系の構築を図ることである。輸送機関別CO2排出量は、トラック輸送に比べ、船舶輸送は約6分の1、鉄道輸送は約11分の1である。近年の国内貨物のモード別輸送トンキロは、自動車が約5割、内航海運が約4割を占め、鉄道は全体の5%程度である。
 「物流総合効率化法」は、2以上の者が連携して、流通業務の総合化及び効率化を図る事業であって、環境負荷の低減及び省力化に資するものを認定し、認定された事業に対して支援を行うものである。総合効率化計画のうち、「モーダルシフト」の取り組みは89件であり、このうち貨物鉄道への転換は49件で、内航海運への転換は41件である。鉄道輸送や海上輸送が競争力を発揮する長距離輸送(500㎞以上)だけでなく、それを下回る距離で取り組む事例が複数見られた。
 モーダルシフト等推進施策として、物流効率化に関する取組において、協議会の開催等の事業計画の策定に要する経費への支援を行う補助制度や、人手不足等により物流効率化が求められる中、財政投融資の活用を図ることで、関係者の連携・協働による取組を資金面から後押しする制度がある。

講演要旨②

 豊橋にもJR貨物の拠点(豊橋オフレールステーション、豊橋市北島町字中川原141-3)がある。かつては豊橋駅内で貨車への積み込みを行っていたが、1998年にストップし、現在は西浜松でその業務を行っている。日本貨物鉄道株式会社は、国鉄改革で誕生した全国ネットワークで鉄道輸送を行っている唯一の事業体で、営業キロは75線区・7,957㎞、列車本数は429本、輸送量は2,954万トン、輸送トンキロは196億トン(トラックは1,821億トン)である。
 環境意識向上とドライバー不足の時代を背景としたモーダルシフトにより、国内総貨物輸送量は減少傾向であるが、鉄道コンテナ輸送量は増加している。鉄道のCO2排出量は、営業用トラックの11分の1と圧倒的に少ない。貨物列車1編成当たりの輸送量力は、最も長い26両編成(長さ520m)で約650トン。10トントラック65台分に相当する。
 鉄道コンテナ輸送の仕組みは、戸口から戸口へ輸送する「複合一貫輸送」(運送事業者(発)→JR貨物→運送事業者(着))である。コンテナ実績は、1位は食料工業品(16%)、2位は積合せ貨物(宅配便等、14%)、3位は紙・パルプ等(12%)となっており、豊橋からの発送は「自動車関連部品」が30%超と多くなっている。
 JR貨物グループ長期ビジョン2030における取組方針として「総合物流事業の推進」を掲げている。グループの総合力を活かし、全国をつなぐ鉄道ネットワークと物流結節点機能を持つ貨物駅からなる物流プラットフォームを構築し、物流情報ネットワークの整備や他の輸送モードとの連携も進め、最適なソリューションをワンストップで提供することを目指している。具体的には、新たな輸送サービスの展開として「ブロックトレイン・定温貨物列車の新設」、貨物駅の高度利用による物流結節点機能の強化として「駅ナカ物流施設(レールゲート)・積替ステーションの設置」に取り組んでいる。
 東京レールゲートはJR貨物最大の貨物駅内に位置し、全国各地への鉄道コンテナネットワークと連携したロジスティクスを提供できる先進的物流施設である。鉄道輸送のみならず、東京港国際コンテナターミナル、羽田空港、首都高湾岸線に近接した立地であり、陸・海・空の物流ジャンクションとして、サプライチェーンの様々なシチュエーションにおける利用が可能となっている。
 また、清水港と静岡貨物駅が連携した輸送事例として、日本水産様がタイから輸入した缶詰を、清水港で揚げ、一旦清水倉庫様の倉庫に納め、静岡貨物駅から福岡・広島・八戸へ鉄道で輸送したというケースを紹介させていただく。

過去の掲載情報