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広域連携事業

2021.11.29 第61回研究交流会

1.開催日時

2021年11月29日(月)14時00分~15時30分

2.開催場所

豊橋商工会議所 4階 401会議室

3.講 師

日本通運株式会社 豊橋支店 支店長 守田 英司 氏
日本通運株式会社 金沢支店 高柳物流事業所 主任 柳瀬 友治 氏

  テーマ

「物流における脱炭素への取組み」

4.参加者

36名

講演要旨

【日本通運について】
(豊橋支店長 守田英司 氏)
*日本通運株式会社は、2022年1月から純粋持株会社体制に移行し、NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社を設立する。本社を秋葉原へ移転し、グループ企業が集結する。日本通運はフォワーディングでは世界第5位であるが、日本で培ったノウハウを今後のグローバル成長に活かしていく。2022年1月4日より「日通」から「NX」へ、ブランドアイデンティティを新たに導入する。
【物流におけるカーボンニュートラルと日本通運の取組み】
(金沢支店高柳物流事業所 柳瀬友治 氏)
*カーボンニュートラルとは、CO2(温室効果ガス)排出量を実質ゼロにすることである。温暖化の要因は、人間の影響である可能性が極めて高いことが2021年のPCC第6次評価報告書で明らかとなった。地球温暖化の影響は、地球の平均気温状況、海面水位の上昇、様々な自然災害の激甚化などに及んでおり、世界中でカーボンニュートラルが求められるようになった。2015年のパリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること、出来る限り早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトさせ、21世紀後半には温室効果ガス排出量と吸収量のバランスをとることが長期目標として掲げられた。世界で約200か国が具体的な目標を設定したが、日本は菅前首相が2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指し、2030年温室効果ガス削減目標を26%から46%へ引き上げることに言及した。また、日本は「RE100」(自社の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ)に60社参加しており、カーボンニュートラルは企業人として取り組むべき必須要件となっている。現状の温室効果ガス総排出量の推移をみると、我が国は2030年新目標値まで0.93億tが未達であり、今後さらなる対策が必要である。
*カーボンニュートラルに必要な3つのステップは、①抑制(不必要にエネルギー使用そのものを発生させない、エネルギー使用効率を徹底的に高める)、②転換(“枯渇性エネルギー”を“再生可能エネルギー”に)、③吸収(最低限のCO2を、別の方法で相殺)である。まずま、「①抑制」を徹底的に行う必要がある。
*日本通運のCO2抑制事例としては、次のものがある。
①荷姿設計
外装ラックに合わせた内装設計による収容数の改善、積載効率約48%向上
②鉄道モーダルシフト(要冷蔵品)
冷凍コンテナ使用、CO2排出量約80%抑制
③鉄道モーダルシフト(空回送)
マッチングによる専用コンテナの有効活用、CO2排出量約63%抑制
④鉄道モーダルシフト(少量ロット)
専用容器「プロテクトBOX」の採用、1個から利用可能
⑤内航船モーダルシフト
出荷拠点集約による港までのトラック輸送の最短化、CO2排出量最大約54%抑制
⑥共同輸送(同業種)
出荷拠点を変更し、低積載路線を使用、CO2排出量最大約56%抑制
⑦共同輸送(異なる品目)
パレタイズと荷台積付方法を工夫、トラック使用台数約20%抑制
⑧共同輸送(異業種)
異なる業種まで視野を広げ、共同輸送を実現、CO2排出量約2t/年抑制)
*日本通運の今後の取組みとして、輸送中のCO2排出量の把握に力を注いでいる。排出量の把握方法は、「改良トンキロ法(トラック限定)」、「従来トンキロ法(比較的簡易に算出可能)」が主に使われているが、精度・負荷が高いほど難度が上がる。日本通運は、簡単にCO2排出量を把握するためのツールとして「ワンストップ・ナビ」を提供。必要な情報は、①発送元の住所、②届先の住所、③荷物情報(重量、個数等)であり、各輸送モードのCO2排出量を自動計算する一括検索ツールである。また、荷主様の代わりに輸送中のCO2を計算する「エコトランス・ナビ」を11月30日にリリースする予定。荷主様のCO2抑制取組に更なるサポートが可能となった。日本通運は、カーボンニュートラルに向けて率先して取り組みを続ける。

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