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産学官民交流事業

2023.07.07 第233回東三河午さん交流会

1.日 時

2022年7月7日(金)11:30~13:00

2.場 所

ホテルアークリッシュ豊橋 4階 ザ・テラスルーム

3.講 師

渥美半島とまとランド 小川 浩康 氏

  テーマ

『メディア露出40回以上!「農業」の枠を超えた取り組み』

4.参加者

39名

講演要旨

 私は、愛知県田原市在住で、大学卒業後、トヨタネ株式会社に4年勤務し、その後親元就農8年目のミニトマト農家である。自転車で四国・九州一周、車で日本一周、TBS「SASUKE」出場、伊良湖トライアスロンやフルマラソンへの出場などチャレンジ精神旺盛で、王子認定協会公認の「トマト王子」にもなっている。
 ミニトマト農家としての実績は、「にっぽんの宝物JAPAN大会」における2021年肉海産物調理加工部門で、山形県の魚屋さんとコラボした『あつみちゃんトマトたっぷりの海鮮パエリア』で「グランプリ」を獲得(東海エリア初受賞)、同年最強素材部門で「特別賞」を受賞し、田原市長を表敬訪問するとともに、あつみちゃんトマトが「渥美半島たはらブランド」に認定された。また、同大会の2022年肉加工部門で、豊橋の麺游庵さんとコラボした『東三河のめぐみ 最強肉汁餃子3種』で「準グランプリ」を獲得し、田原市長、豊橋市長を表敬訪問するに至った。
 農家のイメージは、モテない、後継者不足、高齢化、休みなし、儲からない、重労働などネガティブなイメージが強く、もっと良いイメージになって欲しいと思っている。令和3年度の都道府県別農業産出額で愛知県は8位、令和2年度の全国市町村別農業産出額で田原市は2位(県内1位)、豊橋市は13位(県内2位)、豊川市は144位(県内3位)で東三河地域は農業が盛んなエリアになるが、全国的な知名度が低いのが課題である。農家の平均年齢は67.7歳(令和2年)とほぼ70歳となっているが、日本の食を支えているのはこの世代の方々である。農家の仕事は、種をまく、水をあげる、防除する、肥料をまく、収穫する、出荷するといった一連の作業となる。私は、なぜ農家の枠を超えた取り組みをしているのかというと、①あと何十年も農家であり続けるため、②仕事のモチベーションを上げるため、③農家のイメージを変えるため、④農家を身近に感じてもらうため、⑤農家の可能性を広げるため、⑥地元、渥美半島を有名にするため、⑦未来の農家になる子供たちに背中を見せるため、である。
 2020年から、テレビ・新聞などのメディアには一通り出させていただいているが、まだまだ満足はしていない。農業界で有名になるのではなく、日本で一番有名な農家になれれば、自分が紹介されることで日本有数の農業のまちである田原市や渥美半島のPRに繋がると思っている。どうやってメディアに取り上げられるかを良く聞かれるが、電話やメール等でメディアから声をかけられること、自分からメディアに情報提供すること、受賞等の報告で市役所へ表敬訪問すること、などが挙げられる。まずは、自分から情報発信することが大事である。ホームページがあるか?情報を発信しているか?検索した時にひっかからないと、何の意味もなくなる。どんな良い商品、良いことをしても「知られなければ意味がない」。「農業×○○」、異業種コラボはインパクトがあり、メディアの目を引く。また、よくメディアに出ている人や会社とのコラボはメディアに繋がりやすい。ゴールを目指して道筋を立てる人は多いが、それを行動に移す人は極端に減る。自分が楽しいと考えたことは行動に移すこと、またそれを発信していくことが大事である。
 実際の取組み事例を紹介させていただく。「農業×カード=農カード」。「農カード」とは、農業・農家を身近に感じてもらい、農業を盛り上げたいと考えていた時に、テレビで「漁師カード」の紹介があり、「これを農業バージョンでやれれば…」とSNSでつぶやいたところからスタートした。これは、農家主体の取組みであり、フットワークの軽さが売りである。使い方としては、ネット販売や直売、農業体験でカードを添付(配布)しており、現在、45都道府県から約170名が参加している。参加条件としては、SNSでのみ募集・応募(ツイッター・インスタ限定)、ネット販売をしている、顔出しがOK、などがある。農家側は、平均年齢が67歳の業界にもかかわらず20~40代が9割を占め、「カードゲーム世代であり仕事のモチベーションアップに繋がった」、「全国に同世代の仲間ができた」などの声が上がっている。また、消費者側からは、「若い農家、女性農家がいることを知らなかったので応援したい」、「色んなカードを集めたい(1農家、最大5枚まで発行可能)」、「野菜の見かたが変わった」、「野菜を簡単に捨てられなくなった(フードロス軽減)」、などの声をいただいている。
 もう一つの取組み事例として、「農業×医療」。2020年コロナの緊急事態宣言により飲食店がストップしたことで、飲食店に卸す野菜の行き場がなくなった。SNSやニュースで農家の悲痛な叫びが広がり、行き場を失った野菜を買って助けようという動きが始まり、数多くの農家が助けられた。今度は農家が恩返しの番ということで、当時困っていたのは「医療現場・医療従事者」であり、医療従事者と消費者(一般の方々)の架け橋にミニトマトを何とか活用出来ないかと考えた。また、他人事ではなく、自分事として捉えて欲しいということで、SNSで医療従事者への感謝のメッセージを募集すると同時に、ミニトマトとメッセージを受け取ってもらえる医療施設・医療従事者をSNSで募集した。医療現場におけるミニトマトのメリットは、「調理がいらない、個数が多い」ということであり、お米などを送りたいという提案があったが、ミニトマト以外の手間のかかる食材の提案はお断りした。1回目は自己負担で送ったが、送れば送るほど自己負担が大きくなるという課題に直面し、2回目はSNSで全国のミニトマト農家に協力を呼び掛け、全国各地から5名のミニトマト農家が集まり、40件発送した。また、3回目はクラウドファンディングで寄付を募り、目標額には届かなかったが37件発送した。多くの医療関係者に喜んでいただき、御礼のメッセージを資金提供者へリターンする対応も併せて行った。
 最後にまとめとして、自分から情報発信をすること、自分の業界と他業界とコラボすること、TTP(徹底的にパクる)により自分流にアレンジして慣れたらゼロから始めること、想像したことに対し実際に行動に移すことが大事である。