2026.06.01 特別講演会「デジタル化による企業の生産性・付加価値向上の実現を目指して」 1.開催日時 2026年06月01日(月)14時00分~15時30分 2.開催場所 豊橋商工会議所 407会議室 (豊橋市花田町字石塚42-1) 3.講 師 ㈱サーラビジネスソリューションズ 代表取締役社長 ㈱豊橋まちなか活性化センター 専務取締役 浅 野 卓 氏 4.演 題 『デジタル化による企業の生産性・付加価値向上の実現を目指して』 ~愛知県DX計画策定支援事業の活用~ 5.講演内容 各企業の置かれている状況、デジタル化の進捗状況は様々です。企業の「生産性・付加価値向上の実現」に向けたデジタル化・DXの推進について、ITコーディネータが体系的に分かりやすく解説します。また、伴走支援事業である「愛知県DX計画策定支援事業」について、詳しくご説明します。 6.参 加 者 43名 7.そ の 他 参加無料です。お申し込みは、下段の「開催案内(ダウンロード)」より、案内に記載の「二次元バーコード」、または下段の「参加申込書」(FAX・E-mail送信)よりお願いいたします。 開催案内(ダウンロード) 【講演要旨】 1.DXの3段階の理解 DXには以下の3つの段階があり、これらを正確に区別し、自社の取り組みがどの段階にあるかを把握することが重要。 ①デジタイゼーション(Digitization):紙など物理データのデジタル化(例:紙の請求書をPDFにしてメール添付する)。 ②デジタライゼーション(Digitalization):データ活用による業務プロセスやフローの効率化・自動化(例:AIによる需要予測と発注の自動化)。 ③デジタルトランスフォーメーション(DX):ビジネスモデルの根本的な変革(例:Netflix。個人の好みに合わせたレコメンドやサムネイルの変更、視聴データの秒単位での分析を行い、独自のビジネスモデルと顧客体験を築いた)。 2.DXを成功させるための組織風土と経営者の心得 ツールを導入するだけではDXは成功しない。以下の取り組みを通じて、組織の風土(土壌)を変えることが不可欠。 ①「心理的安全性」の確保:これらすべての土台となるのが「心理的安全性」である。都合の悪い事実や隠したいデータでも、正直に口に出せる文化がなければ、正しい経営判断やDXは進まない。 ②データの理解と実態の把握:組織内のデータが部門ごとに分断されている「サイロ化」を防ぎ、意味のない報告書などの「ブルシット・ジョブ(無駄な仕事)」をなくすことが重要。 ③経営者のコミットメント:デジタル化を若手やIT部門に丸投げするのではなく、経営者自身が業務の本質を見直し、外部の専門家などを「伴走者」として頼りながら、DXを牽引する覚悟が必要。 3.DX推進において経営者が持つべき「問いを立てる力」 生成AIなどの最新技術は「答え」を出すことは得意であるが、「自社にとって何が重要か」「どのような仮説を立てるべきか」を考えることはできない。そのため、これからの時代の価値の重心は、AIに代替されない「良い問いを設計する力」へとシフトしている。この力を支える要素は以下の3点である。 ①仮説構築力:「現状のデータからどのような課題が推測できるか」といった仮説を組み立てる能力。 ②ITと経営の両方が分かる人材の育成:技術的な視点と経営的な視点の両方を理解し、意味があり、答えを出せる「問い」に翻訳できる人材。 ③OODAループの活用:「観察(実態の把握)」と「情勢判断(問いを立てる)」を迅速に行うOODA(ウーダ)ループを回し、変化の速い環境に対応。 4.身近な実践事例と「DX認定」取得のポイント 講師自身の経験として、テナントへの請求書発行をRPA(UiPath)で自動化し年間66時間を削減した事例や、LINE WORKSを活用して紙の申請手続きをスマホで完結させた事例が紹介された。また、企業が「DX認定」を取得し、対外的な信頼を得るためには、以下のポイントを押さえる必要がある。 *独自性のあるデジタル戦略・IT戦略の策定(最も重要:愛知県の支援事業などで作成する「DX計画」と同義) *デジタルガバナンス・コード(経済産業省・IPA)への準拠 *策定した戦略の経営層での承認と対外的な公表 *認定取得後(2年ごとの更新)に向けた継続的な進捗管理 5.東三河の企業が目指す「リープフロッグ(カエル跳び)」とその条件 東三河地域は現在DXで出遅れているものの、それは「既存の古いシステム(レガシー)に縛られない身軽さがある」という強みでもある。インドネシアが固定電話の普及を飛び越えて一気にスマホのQR決済社会に移行したように、途中段階を飛ばして最新技術へ到達する「リープフロッグ(カエル跳び)」が可能。これを実現するためには、以下の3つの条件を整えることが推奨される。 ①足場(最新技術)の活用:誰にでも安く使える生成AIや最新のクラウド技術を「足場」として一気に導入し、ゼロベースで試すこと。 ②旗振り役(リーダー)の確立:組織内のバラバラな動きを束ね、デジタル化を強力に牽引するリーダー(経営者自身)を確立すること。 ③ガバナンス(情報セキュリティ)の徹底:いきなり最新技術を活用するため、システムの初期段階から安全性を組み込む「セキュリティ・バイ・デザイン」の考え方を持ち、専門家の意見を聞きながら手戻りなく安全な体制を構築すること。 【愛知県による「2026年度企業のデジタル化・DX支援施策」の説明内容】 愛知県は、中堅・中小企業においてDXが十分に進んでおらず、紙のデジタル化などの「デジタイゼーション」に留まっている現状を踏まえ、企業の段階に合わせた「一気通貫」の支援施策を展開している。主な支援施策は以下の通りである。 ①中小企業デジタル化・DX促進補助金:コンサルティング費用、デジタルツール導入、システム改修などに最大200万円(補助率1/2〜2/3)を支援する。通常は対象外になりやすいコンサル費用も対象となるのが特徴である。 ②デジタルナビゲート事業:専門家が無料で企業のデジタル化度合いを診断し、最適なツールや支援策をフィードバックする。 ③デジタル化プッシュ事業:デジタルツールの無料お試し導入と、専門家による効果実証の伴走支援を行う。 ④DX計画策定実証支援事業:新規事業の創出や業務プロセスの再構築を目指す企業に対し、専門家による事業計画の作成とPoC(概念実証)の支援を実施する。 ⑤サイバーセキュリティ対策支援事業:県内企業に対して、人的・組織的なサイバーセキュリティ対策を無料で個別支援する。 【日本アイ・ビー・エム株式会社による「DX計画策定実証支援事業」の説明】 日本IBMは、愛知県の「DX計画策定実証支援事業」の受託者として、企業の生産性・付加価値向上に向けた具体的な支援内容を説明した。 ①生成AIと非構造化データの活用:今後の企業経営においては、手作業の自動化だけでなく、人間の「判断(意思決定)」を補強するために生成AIを活用することが重要。特に、企業内に眠る会議録やメモなどの「非構造化データ」を、ハイブリッドRAGなどの技術を用いてAIに学習させることで、暗黙知を形式知化し、一足飛びにDXを実現することが可能。 ②事業計画作成支援・計画の検証(対象:4社程度):これからDXに取り組む企業向けに、新規事業の創出や業務プロセスの再構築に向けた「DX計画」をゼロから作成するための支援。月1回の個別支援とワーキンググループを通じ、日本IBMの先端技術・新規事業の専門家や、知財・事業性評価の専門家が伴走。 ③事業計画に基づくPoC(概念実証)の支援(対象:2社程度):すでにDX計画を持っている企業向けに、計画の一部を実証(PoC)するための支援。月2回を上限に、各企業にプロデューサーや先端技術の専門家からなるチームを編成し、設計から実行、評価までを一貫してサポート。 ★いずれの支援も、企業の決済権限を持つ経営層と、現場を理解している担当者の両方の参加が推奨されている。