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東三河懇話会の活動

2026.07.17 特別講演会「持続可能な移動によるまちづくりの取り組み」

1.開催日時

2026年7月17日(金)15時00分~17時00分

2.開催場所

豊橋商工会議所 506会議室
(豊橋市花田町字石塚42-1)

3.講  師

クララグループ代表 家本 賢太郎氏

4.演  題

『持続可能な移動によるまちづくりの取り組み』
 ~MaaS事業の確立と「まち」に対する価値提供~

5.講演内容

クララグループの事例から東三河のモビリティとまちづくりの可能性を探ります。

6.参加者

28名

講演要旨
1.まちづくりに繋がる原体験
 私は名古屋市出身で、プロ野球選手を夢見る野球少年だったが、小学6年生での入院を機に、ベッド生活となった。中学生の時にインターネットと出会い、障害の有無に関わらず世界とフラットに繋がれることに生きる実感を見出した。しかし、中学2年で脳腫瘍の手術時のアクシデントにより手足の機能が失われ、「一生車椅子」と宣告された。それでもインターネットの凄さを社会に伝えるために15歳で起業し、バリアフリーが進んでいない時代に車椅子や体一つで営業に回る苦労を重ねた。17〜18歳の時には、倒産の危機や時給840円でのアルバイト生活といったどん底も経験した。この「歩けた」「車椅子だった」「また歩けるようになった」という3つの視点と壮絶な原体験が、多様な人々の立場に立った現在のまちづくりやインフラ整備を考える上での揺るぎない原点となっている。

2.シェアサイクル事業「チャリチャリ」の展開と垂直統合モデル
 IT領域で20年近く起業家として活動していた私は、オンラインだけの仕事に葛藤を抱えていた頃、中国で急速に普及するシェアサイクルを目の当たりにし、衝撃を受けた。その後、世界200箇所以上を視察し、日本の自転車産業が抱えるアナログな課題や販売台数・店舗数の激減といった実態に気づいた。2017年にメルカリからの相談を受けて事業立ち上げを支援し、後に自身で事業を譲り受けて「チャリチャリ」の展開を本格化させた。コロナ禍の苦境を乗り越えながらも、この事業において特にこだわったのが「垂直統合」モデルである。IT業界で一般的な各社で役割を分担する「水平分業」とは異なり、自転車のオリジナル設計からスマートロックの開発、日々の再配置やバッテリー交換、カスタマーサポートまで全て自社で行っている。これには、街の中で起こるリアルな課題に対して素早く対応し、サービスを迅速に改善していくという明確なメリットと目的がある。

3.公共交通との連携と地域に根ざした経営
 日本の自転車の交通分担率は12〜13%と高く、人口1億人超の国としては非常に珍しい「自転車大国」である。私は、鉄道や路線バスといった箱型移動手段を「植物の幹」、シェアサイクルを「葉脈」に例え、運転手不足に悩む既存の公共交通の客を奪うのではなく、相互に補完し合う連携を重視している。また、行政の補助金に頼らない「民設民営」を貫くことで、民間ならではのスピード感と独自の意思決定を保ち、福岡や熊本などで数千台規模の展開を実現している。さらに、まちづくりは10年単位での利益回収を求めるベンチャーキャピタルとは時間軸が合わないため、資本の約3分の1を地元のテレビ局や企業に持ってもらっている。加えて、自転車を担保に地域の個人から資金を募り事業収益から配当を返す「動産信託(金融の地産地消)」の仕組みを導入するなど、地域と時間を共有しながら持続可能な経営を行っている。

4.まちづくりへの応用と経営理念
 都市計画や交通計画が自治体内でバラバラに進められがちな現状に対し、シェアサイクルを通じてまちづくりの課題を一体的に解決することを目指している。また、国の法律(ハードロー)による細かな規制を待つのではなく、事業者自らが評価基準やルールを作る「ソフトロー」の形成や、サービスの安心・安全を担保するためのJIS化(日本産業規格)に向けた活動も推進している。
 企業経営においては、一般的な「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」を定める前に、「自分たちは社会や神様から何を要請されているのか(Calling:召命)」を問い、言語化することが最も重要である。この理念に基づき、20年前からオフィスを構える東京・有明エリアにおいて、タワーマンション林立による地域のつながりの分断という課題に直面した際、多様な人々が外に出て交流できるコミュニティ作りの手段として、プロバスケットボールクラブ(TUBC)を立ち上げた。スポーツを共通言語とすることで、地域に新たながりや活力を生み出す多角的なまちづくりを実践している。
                                          以 上

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