1. HOME
  2. ブログ
  3. 東三河懇話会の活動
  4. 産学官民交流事業
  5. 2021.04.02 第211回東三河午さん交流会

産学官民交流事業

2021.04.02 第211回東三河午さん交流会

1.日 時

2021年4月2日(金)11:30~13:00

2.場 所

ホテルアークリッシュ豊橋 4階 ザ・テラスルーム

3.講 師

株式会社戸田工務店 取締役マネージャー 戸田 幸志 氏

 ◎テーマ

『空き家を負動産から富動産へ 古民家と創る地域の未来』

4.参加者

41名

講演要旨

本日は、一般社団法人愛知県古民家再生協会、NPO法人奥三河田舎暮らし隊の理事としての立場でお話させていただく。コロナ禍で、奥三河で暮らしたいという方の問い合わせが3~4倍に増えた。特に関東方面からの問い合わせが多い。
愛知県古民家再生協会は、2016年の古民家再生議員連盟発足から少しずつ具体的な活動が始まった。空き家の中では、古民家が非常に多い。全国各地で例会が開催され、各地の情報が支部に集まる。大工で伝統工法の技術を習得している方は60~70代の方がほとんどであり、後世に繋げるのは今しかない。また、JTB(観光面)、楽天×ホームアウェイ(集客面)とも提携している。
かつて古民家は「古屋(ふるや)」と呼ばれ、ごみ扱いされてきた。しかし、現在は「古材」という資源として認識されてきた。令和2年3月、新城市と「空き家等古民家の活用に関する包括連携協定」を締結した。空き家の問題を抱えた人は、行政に相談するのがほとんど。この情報は個人情報保護の観点から、民間企業などには流れて来ない。
古民家の再生は、各省からの補助金が活かせる。岡崎市で相談があり、「ローカル10,000プロジェクト」(事業費の50%補助)を活用して古民家をイタリアンレストランに再生させた案件がある。
これからの日本の人口推移予測をみると、東三河地域は若い層が減っていき、高齢化率が30%代まで上昇してくる。昔は2・3世帯同居が当たり前であったが、1世帯、一人暮らしへと家族構成が変遷し、空き家率の高くなる要因となっている。10年度には空き家率が2~3倍になり、10軒に3軒が空き家となり、地域社会の停滞に繋がる恐れがある。
空き家になるリスクは早いか遅いかだけで、誰もが問題を抱える可能性がある。家の跡を継ぐ方がいなければ、当然空き家になる。人口減少の地域活性化策は、企業誘致、移住政策から「関係人口」を増やすことに変化してきている。コロナ禍でテレワーク、ワーケーションが脚光を浴び、移住定住の機運が高まっており、地域間競争が激化している。古民家を再生させ、賃貸で収入を得る「DIY型賃貸借」が非常に多い。今、DIY型リノベーションが注目されている。「しんしろ木の学校」にはSNSで集まった20歳代の若い女性の参加が多く、びっくりしている。また、これからの時代活性化の鍵となる「企業版ふるさと納税」は、地方への資金の流れを飛躍的に高める観点から是非活用すべきである。
古民家は放置や雨漏りがなければ価値がある。新城市で解体予定であった築80年の古民家をアメリカオレゴン州に移築するという空き家古民家の海外移築事業も進めている。若手大工の育成も考えており、コロナ収束後は東三河の大工をアメリカに連れていき、現地で活躍してもらうという夢を持っている。
時間が少しずれているだけで、いずれ豊橋も空き家が多くなってくる。不動産を負動産にしないために、子どもや孫のために、空き家問題は先送りせず、今の世代で解決していかなければならない。この想いは必ず叶うはずである。