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産学官民交流事業

2022.08.05 第224回東三河午さん交流会

1.日 時

2022年8月5日(金)11:30~13:00

2.場 所

ホテルアークリッシュ豊橋 5階 ザ・グレイス

3.講 師

合同会社新城キッコリーズ 代表社員 田實 健一 氏

  テーマ

『欠点材?新たな可能性を生み出す枝虫材』

4.参加者

42名

講演要旨

 私のフィールドネームは「タジー」。「田實(たじつ)」は、九州・鹿児島由来であるが、父親が転勤族で、中学2年生に愛知県に住むまで、タイ・シンガポールなどの海外を含め、国内外を転々としていた為、「出身はどこか?」と聞かれると答えに窮することが多い。私が林業に関わるまでのストーリーは、本日配布のパンフレットに記載されているのでご覧いただきたい。
【パンフレット抜粋】
 若い頃、旅をしている途中に大地震に遭い、土砂崩れの山を見て「災害に強い山づくり」をしたいと、山のことを知るために林業の世界へ。様々な経験を積み、自然観察指導員の資格を持ち、愛知県指導林家にも認定。子供達に自然の中で森や木のことを学ぶイベントの講師をしたり、新たな林業のビジネスモデルを確立中。生態系を崩さないやり方で山を育て、地域への貢献に日々邁進している。
 現在、3人で仕事をしている。経験年数は私の17年に比べて2~3年と浅いが、気のいい仲間で、楽しく仕事をしている。服装は事故を未然に防ぐことを目的に「赤いTシャツ」。チェーンソーで丸太を切り出し、3tのユンボを使い、林内作業車で運び出している。「自伐型林業」という小規模林業のスタイルで行っており、自然災害に強い森づくりを目指している。現在、新城市の自宅の裏山にある「井代の森」を管理している。繁忙期になると少し大きい重機をレンタルするが、8月8日に自社の新しい「グラップル」を導入するので非常に楽しみにしている。
 林業以外では、愛知県指導林家、自然公園指導員、自然観察指導員、森林施業プランナー、ネイチャーゲームリーダー、レクリエーションインストラクターの資格等を活かし、「井代の森」で小学生を対象とした森林学習(丸太切り体験、スウェーデントーチ火起こし体験、伐倒体験ほか)や都市部の方々を対象とした薪割り、製材体験などを行っている。また、ハンモック体験も行っており、割き織生地を3枚重ねにしたオリジナル商品も今後販売する予定である。
 「丸太の価値を上げ、山の価値も上げる」ことがミッション。「井代の森」は、100%が「枝虫材」。「枝虫材」は、スギノアカネトラカミキリの幼虫が枝から幹に侵入したもので、製材すると虫食い跡が出て来る。Dランクの丸太で、去年まで売れない状態が続いたが、ちょうどよいタイミングで湯谷温泉のボイラーを「薪」に変えるという話しがあり、売り先を確保できた。その後、薪の原料となる木材置場を見た新城市内の製材所から「これ燃やしちゃうの?もったいない」という話しが出て、倍の価格で買い取っていただけるようになり、「枝虫材で小屋を建てたい」という新城市内の美容室からの注文も来るようになった。
 森は多様性がある。隠すのではなく、新たなデザインとして「枝虫材」の価値観を創造していきたい。豊橋駅前大通の「emCAMPUS」の屋上農園に設定されているプランターは、すべて「枝虫材」を使用している。また、先月開店した「emCAMPUS Café」の内装材やプランターもすべて「枝虫材」である。この時期に伐り出す丸太は水分が多く、腐りやすいが、なんとか要請に応えることが出来た。是非、「枝虫材」の良さを実際に見ていただきたい。