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産学官民交流事業

2021.06.04 第212回東三河午さん交流会

1.日 時

2021年6月4日(金)11:00~12:00

2.場 所

ホテルアークリッシュ豊橋 4階 ザ・テラスルーム

3.講 師

株式会社安田商店 代表取締役社長 安田 弦矢 氏

 ◎テーマ

『農畜産業の超高齢化が進む産地「田原」を守るため』

4.参加者

40名

講演要旨

基幹的農業従事者の平均年齢は67.8歳まで上がっており、2015年から5年間で約40万人減少している。田原市の基幹的農業従事者の平均年齢は59.8歳と若干若いが、5年間で約1,500人減少している。それでも田原市が日本一の生産出荷高をキープしているのは、農家の大型化と低年齢であることの2つの要因が考えられる。今後の課題は、進まない企業参入と進まない機械化・システム化である。これは、畑の数は多いが面積が狭いことが原因である。関連会社の「有限会社やさい畑」が作っているキャベツ畑は、面積は10町歩あるが、圃場数は54カ所(田原・赤羽根・豊橋)ありバラバラで1つにまとまっていない。大型化しても生産性が上がらず、畑は小さく転々としているため、企業参入や機械化・システム化の障壁となっている。
このような状況下で、弊社が担える役割は何なのか?弊社と関連会社を紹介する。
「安田商店」は、「播種の冷蔵サービス」を行っている。これは、種苗会社と連携して行っているサービスであり、農家にとって発芽率の向上による生産性向上、高温のハウス内での作業減少、作業人員の最適化というメリットがある。注文数は12年前の5倍に増加しており、超高齢化が進む農家にとって必要な事業になっていると確信している。
「ベジロジ」は、農家の「販路開拓+α支援」を行っている。300品目の食材を扱っており、スーパーで今何が売れ、消費者が何を求めているかを把握。農家に販売先のニーズを報告するとともに、新しい生産物の提案・支援を行っている。また、先代からの事業転換を悩む若手農家へのアドバイザーになることで、高齢化が進み世代交代のタイミングで農業を続けるか悩んでいる農家の一助になれると考えている。
「やさい畑」は、「自社生産と情報提供」を行っている。地域特産品の「キャベツ」を生産するとともに、新品種・新品目の試験を行っている。直営農場を持っていることで、提携農家が安心するとともに、地元のスーパー「クックマート」では「安田さんブランド」として消費者の安心感に繋がるというメリットがある。
「ほの国ファーム」は「自社生産(畜産)とマッチング」を行っている。田原市は空き農場が増えており、再開発、再利用のため、養豚家と養豚を始めたい企業とのマッチングを行っている。農家は養豚を行うだけで良く、良質な堆肥化への資材試験、堆肥の提供は会社が行っている。
安田商店と関連会社を通じて、資材、露地、施設、畜産、販売という点と点を線で結び、多くの農家を巻き込んで「円(縁)」を描ける仕事づくりを行っていく。また、現場の声と最新情報をすり合わせ、現場との乖離を埋める仕事を事業化していく。
最新の取り組みとしては、「地球温暖化」に伴う熱帯果樹(アボカド、パッションフルーツ)の生産、「免疫力向上」のためのオクラ、レモンの生産、「巣ごもり需要」に対応した枝豆の生産を関連会社で試験生産している。自ら生産し、問題点を共有・改善案を取りまとめ、販売先を確保後、農家にリリースし、農家と共にブランディングまで行う。
農家目線で農家を助けられる会社、畜産家目線で畜産家を守る会社になることで、産地「田原」を守れるのではないかと考えている。しかし、現実的な問題として、農業を継ぎたい若者の減少、農業を継がせたくない親が増加している。農業の魅力だけが向上しても担い手がいなくてはどうにもならず、イベント「YAROMAI(やろまい)」を開催するなど、個人的なまちづくりの取り組みも行っている。