2026.09.04 第265回東三河午さん交流会
1.日 時
2026年9月4日(金)11:30~13:00
2.場 所
ホテルアークリッシュ豊橋 4階 ザ・テラスルーム
3.講 師
(株)サニーライフサポート 代表取締役 畑川 裕喜 氏
テーマ
『経営者にとって地域経済団体活動は必要か?』
~年商30万から寝具乾燥枚数日本一の会社に! ビジネスプランコンテスト準グランプリ受賞!~
講演要旨
私は蒲郡で寝具乾燥業を行っており、ここ10年以上蒲郡青年会議所(蒲郡JC)や蒲郡商工会議所青年部(蒲郡YEG)といった地域経済団体活動にも携わってきた。今年2月、YEGのビジネスプランコンテスト全国大会のビジネスモデル部門でグランプリを受賞し、マスコミにも取り上げられた。今日はグランプリを獲得した話もあるが、地域経済活動から学び、現在のビジネスに活かされていることなどについて話をする。
まず寝具乾燥消毒の仕組みについてである。トラックの荷台が乾燥庫になっており、その前方にヒーターを搭載している。荷台の後ろの扉を開けるとハンガーが出てきてそこに布団をかけ、荷台に収めて扉を閉めて密閉し、80~90度で30分程度運転するとダニが死滅し、消毒される。空気中の雑菌からカビが生え、そこにダニが発生するため繁殖する前の定期的なメンテナンスをお勧めしている。寝具乾燥業は認知度が低く、「需要がないのではないか」と言われることもあるが、決してそうではない。地域を開拓して商売を伸ばそうという人がいなかっただけだと私は思っている。
私の経営する株式会社サニーライフサポートは、寝具等乾燥消毒事業のほか、寝具・マットレス洗濯事業、寝具環境コンサルタント事業なども行っている。主要取引先は、寝具リース業、ビルメンテナンス業、害虫駆除業者、企業宿舎、JRや名鉄など鉄道関係、官公庁では消防署などである。最近伸びているのは、ビジネスホテルやリゾートホテルの仕事である。
会社は2013年に創業した。なぜ寝具乾燥業を始めたのかと言うと、大学時代に日雇いのアルバイトを続けていたら、その会社が廃業してしまった。「次のバイトどうしようかな」と思っていたら、事務の女性から「知り合いがやっている家業を手伝ってくれないか」と言われた。なぜ声をかけられたか聞くと「畑川君は一回も遅刻しなかったよね」と言われた。別に責任感ではなく、ただ普通に通っていただけだが評価して信頼していただいた。知り合いの実家が布団乾燥業をやっていて、そこも朝が早いから、「あなたは適任だと思う」と言われ始めたのが寝具乾燥業のアルバイトである。このアルバイト先は、保育園に特化して、お昼寝布団を乾燥していた。その後大学を卒業して一般の会社に就職し、結婚して子どもが生まれた。
ある時妻が「保育園にお昼寝布団を持っていくのが大変」と話したときに、「お昼寝布団を乾燥すれば、持っていったり持って帰ったりする必要がなくなるよ」と言ったら、「蒲郡にもそれがあればいいのに」とつぶやいた。それを聞いて「あ、これだな」と思って会社を辞めて起業した。しかし、第1期の売上はわずかに30万円であった。年商30万円である。ただ、それでも歯を食いしばって続けていると、名古屋市の布団乾燥業者から「乾燥車が古くなって、もうそれを更新しないから誰か引き継いでくれないか」と声をかけてもらい仕事をいただいた。それが本当のスタートとなった。
仕事が少し軌道に乗った段階で、蒲郡JCに誘われた。いろいろな役などをやらされたが、その経験、その人脈が今も活きている。この経験で経営のヒントになった2つの出来事を紹介する。ひとつは、JCの活動である「とうかい号」という事業があり、愛知、岐阜、三重、静岡の企業の若手の人たちを船に乗せて、その年は台湾に行った。その報告会では、 名古屋港から「いってらっしゃい」と見送る。しかし、船が着く前に飛行機で台湾に渡って、「あ、よく来たね」と出迎える。そして、また帰るときには台湾で見送り、名古屋港で「お帰り」と出迎えるメンバーの姿があった。最初は「4コマ漫画みたいなことをやっているな」と思った。しかしよく考えて「そうか、これがやれる人たちということか」と思った。JCの活動は、時間とお金を削ってやるものだと思っていたが、逆に時間とお金を創造している。「ああ、なるほど。これはなかなか深いな」と思った。
次は、高校の野球部の同級生から教えてもらったことである。その同級生は岐阜県で義理のお父さんの会社に入り、岐阜のJCに入っていた。一緒にお茶をしたときに「経営者は何をやらないといけないか分かるか」と言われて、「いや、全然分からない」と答えた。すると、「種をまいて、水をあげて、芽が出て、刈り取る。それを一人でやっていてはだめだよ。」と言われた。まさに自分のことである。自分で現場に出て、すべて一人でやっていた。「種をまいたら、次の種をまくんだ」その一言で、「あ、そういうことか」と思った。そして帰りのトラックの中で、サラリーマン時代の後輩に電話をかけ、「一緒に仕事やろう」と言ったら、「いいですよ」と快諾してくれた。そこから少し考え方が変わった。
蒲郡JCも辛かったが、無事卒業して、その後蒲郡YEGに入った。YEGでは、令和6年度に蒲郡YEGの会長までやらせていただき、本当にいろんな経験をさせてもらった。その中で、どういうことが社業に役立ったかを少し話をしたい。
まず、時間の使い方である。2016年2月の第2木曜日は建国記念日で担当事業があり、毎月第2木曜日には決められた現場があった。だから、その事業に出られないと言ったら、「お前、副委員長だから絶対来ないとダメだからな」と本気で怒られた。お客さんに頭を下げて「すいません、ちょっと日程を変えてもらいたいのですが」と言ったら、「いいよ」と返事が帰ってきた。絶対に変えられないと思っていたが、お客さまのスケジュールもお願いすれば変えられることに気がついた。そこで、自分がスケジュールに管理されるのではなく、スケジュールを自分で管理するという感覚になった。
次は、組織の考え方である。JCでは、理事長を絶対一人にさせてはいけないというルールがあった。どこかに行ったときには必ず役員などが理事長の横についている。初めは、白い巨塔ごっこでもやっているのかと思って見ていた。しかし、やっぱり囲まれていると理事長の顔が引き締まる。雰囲気が変わってくる。「あれが分かるか。あれが、役を演じると言うのだよ」と言われて納得した。役を演じる、その顔つきとか言動とかもある。また、報告なども頭越しになってはならないと勉強させてもらい、今役立てている。
他に、議案の作り方もある。「背景と目的は何?」とよく言われる。なかなか慣れないと文章を書くのに苦労するかもしれないが、私は何回も議案を書く。そうすると、会社を俯瞰する癖がつく。主観だけで物を進めることがなくなり、周りがよく見えるようになる。おかげで、会社の補助金申請など一度も不採択になったことがない。また、「できること、できないこと」ということもある。「やれる範囲でやりますよ」という人は結構いると思うが、それは当たり前だと思っている。できないことをどうするか考えるのが重要である。やれないことを任せるというのもひとつの能力だと思う。先のことを考え、任せられる人材を育てれば、新しい仕事に広がるのではないかと思っている。
次に、人脈である。今日も何人かの方とお話しさせてもらっているが、話をするというのは、その人の人生を読んでいるようなものだと思っている。面白ければ、またお話ししたいと思う。とにかく人の話を聞くというのは非常に役に立つと思っている。会社と仕事の往復では、なかなかそういった機会には恵まれないと思うので、極力外に出て、いろいろな人に会うということは心がけている。
そして、考え方である。皆さん面倒だなと思うことはあると思う。しかし、そういう面倒だなと思うものにこそ、振り返ってみると得ているものが多かったりする。「今日面倒だから、得ることがたくさんあるぞ」と考えるようにしている。地域経済団体活動には、時間とお金はどうしてもかかってしまうが、多くの気づきが得られる。その先、その気づきをどのように活かすか、そのまま消化して終わりなのか、「ちょっと行動してみようか」と動くのかで差が現れると思う。
ここで、当社がとても大切にしている「経営理念がつくる成長サイクル」の考え方を紹介する。まず、「業務成果」がある。仕事を頑張ったら、お客さまの「信頼」を得られる。信頼を得られれば「売上」が上がる。売上が上がれば「利益」が出る。それを社員の皆さんに「還元」する。それが「私生活の充実」につながる。そして、また仕事を頑張ろうと思えるというサイクルを会社で掲げている。従業員の皆さんは、性格も価値観も違うが、共通の目標があれば、このサイクルはきれいに回って大きくなっていくと思う。当社は、経営理念という柱として「健康で快適な睡眠のサポート」を掲げている。この経営理念を軸としたサイクルを回し続けることで、会社は持続的に成長でき、その輪が大きくなるほど多くの価値をお客さま、地域、従業員に還元していくことができると考えている。
ビジネスプランコンテストでは受賞部門が3つあり、部門ではグランプリを取ったのであるが、その3つの中では惜しくも最優秀にならなかったので、準グランプリと呼んでいる。きっかけは、2023年7月に福井で日本YEG主催の長坂真護さんの講演を聞いたことである。そこでは、印象に残ったエピソードが2つあった。ひとつは、先進国が捨てた電子部品がアフリカのとある町に集められて焼かれているという話である。有毒なガスがものすごく出る。講師は、捨てられた電子部品をアートにして販売し、お金にしてその村にガスマスクを買ったりする活動をされていた。もうひとつは、着なくなった服を貧しい国に送るという話である。アフリカの人たちにセーターやダウンを送っても着ない。よって、沖でその服を捨てている事例があるとのことで、沖に流れ着いている写真もたくさん見せてもらった。地球の環境のために何か当社も考えないといけないと熱い気持ちになった。
そこで、「保育園で使って使い終わったお昼寝布団を、回収し打ち直して、もう一回保育園で使ってもらおう」と考えた。家に帰ると「第1回サーキュラーシティ蒲郡実証実験プロジェクト募集」というチラシが置いてあり、蒲郡商工会議所に行って「こういうプランを考えたのだけど、どうだろう」と担当者に聞くと、「良いですよ、これで応募しましょう」となった。この担当者に協力してもらい、実証実験に採択され、2年後のビジネスプランコンテストに応募して、一次審査、ブラッシュアップ研修を経て、ビジネスモデル部門のグランプリを獲得することができた。
どういったビジネスプランだったか最後に話をする。幼稚園、保育園で使われているお昼寝布団は、卒園と同時に捨てられるだろうと思い、実際にアンケートを取った。すると、卒園後に廃棄したという方が多く、弟妹がいるので使うといったケースはあっても、ほとんど再利用している方はいなかった。いつ頃捨ててしまうのかというと、1年以内に捨てるという実情が分かってきた。保育園で使っているお昼寝布団は、月曜日に持っていき、金曜日に持ち帰らないといけない。雨や複数人通園していると、大変だと思う。そこで、卒園後の保育園のお昼寝布団を回収して、洗って、打ち直し再生して、新しいお昼寝布団を作る。それを園にリースする。売ってしまうと、また捨てられてしまうので、リースして、当社に戻ってきて、またそれを再生するというサイクルを考えた。その名前が「めぐりね」である。「めぐりね」として園にリースして、親御さんが持ち帰らず、定期的なメンテナンスを、私の本業である布団乾燥で行うプランを考えた。さらに、「これは再生された、みんなが使っていた、再生されたお布団だよ」ということを園の方で教育するというのも付加価値として発表して、グランプリを取ることができた。YEGメンバー3万人以上いる中で、YEGは「ちゃんと商売のことも考えているし、環境のことも考えている」ことを証明できたと思っている。実は今年がYEG卒業年度であるが、もう一回グランプリを取りにいこうと今プランを考えている。また、取ることができたら、皆さんに報告したいと思う。
-scaled.jpg)
-scaled.jpg)
-scaled.jpg)