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産学官民交流事業

2021.03.23 第437回東三河産学官交流サロン

1.開催日時

2021年3月23日(火) 18時00分~20時30分

2.開催場所

ホテルアークリッシュ豊橋 5F ザ・グレイス

3.講師①

豊橋技術科学大学 理事・副学長 角田 範義 氏

  テーマ

『和歌山工業高等専門学校校長を経験して』

4.講師②

株式会社Waphyto 代表/植物療法士 森田 敦子 氏

  テーマ

『東三河とともに -Waphytoのご紹介と地域創生-』

5.参加者

67名(オンライン参加 14名含む)

講演要旨①

高等専門学校は、中学校卒業後の15歳の学生を受け入れ、実験実習を中心とした5年一貫の実践的技術者教育を行う高等教育機関であり、中堅技術者の養成を目的として昭和37年に制度が創設された。近年では、研究・開発に従事する技術者としての活躍も期待されている。
学校数は全57校(国立51校、公立3校、私立3校)、在学者数は56,974人(2020年度)、卒業後の進路は6割が就職、4割が進学(うち6割が大学へ編入、4割が専攻科へ進学)する。18歳人口の約1%、工学系卒業の約10%が高等専門学校の学生である。
高等専門学校の目的は、深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を養成することであり、修業年限は5年(商船に関する学科は5年6か月)、入学対象は中学校卒業者、教員組織は大学とほぼ同じであるが、トップは学長でなく「校長」となる。卒業要件単位数は167単位以上で、一学級40人編成・学年生、卒業者には「準学士」の称号が与えられる。高等専門学校卒業後は、専攻科、大学編入学への進学の途があり、極めて有利である。
和歌山県の特徴は、農作物としてみかん・うめ・山椒・真妻ワサビ・まぐろ・かつお、観光地として高野山・潮岬・南紀白浜・熊野古道・那智の滝などがある。和歌山市以南は、大阪からの交通の便があまりよくないので、ゆっくりした日程が必要である。
和歌山工業高等専門学校には現在、知能機械工学科、電気情報工学科、生物応用化学科、環境都市工学科の4学科を有し、学生総定員808名(うち女子144名、留学生7名、2017年4月時点)である。高等専門学校は5年間で高校3年分+大学4年分の勉強内容を習得でき、一般科目(普通高校とほぼ同じ内容)と専門学科(実験・実習、専門基礎・応用、卒業研究)を勉強する。卒業後の進路は、就職については求人倍率約20倍で就職率は100%、進学については国立大学(3年次編入)などへの進学率は100%である。
中学校卒業予定者に対し、実験・実習や卒業研究に使う機材、イベント、学生生活・学校行事、クラブ活動などを積極的に紹介している。男子1・2年生は全寮制で、女子全学年・男子3年生以上は希望すれば入寮可となる。所在地は、和歌山県御坊市で海に面しており、天気の良い日は四国が見える。海抜は11~20mあり、災害時の安全も確保されている。

講演要旨②

中国語を習得するため東京の大学に進学。全日空の客室乗務員時代にダストアレルギー気管支喘息を発病したことで、植物療法(フィトセラピー)に出会い渡仏。フランス国立パリ13大学で植物薬理学を本格的に学び、症状が劇的に改善。帰国後は、植物療法に基づいた商品とサービスを社会に提供するため会社を設立。
2020年、フィトテラピーと本草学、テクノロジーを融合させた植物バイオメソドロジーによって女性の一生をサポートするためのトータルライフケアブランド「Waphyto」(和+植物)を立ち上げた。故郷である豊橋に本店所在地を置き、これから「東三河の化粧品」としてブランド化し、地方創生に取り組んでいきたい。
東三河は中央構造線の上に成り立っていて、土壌は植物の機能性成分(ファイトケミカル)の生成において世界的に見ても非常に有効で稀有な特徴を有しており、この地で採取できる菊などの植物には、抗菌作用、抗酸化作用など機能性の高い成分が含まれる。東三河は、豊かな土壌に恵まれた、まさに奇跡の場所である。新城の養蚕農家である海野さんが生産される「桑」には良質の成分が含まれており、絹糸は毎年「伊勢神宮」に奉納されている。
植物バイオメソドロジーによって認められたこだわりの機能性植物として、桑(マルベリー)、ヨモギ(マグワート)、菊(和製カレンデュラ)、スギナ(ホーステール)、ゴツコラ(ツボクサ)の5つの植物がある。それぞれに有効な機能性成分が含まれており、この5つをキー成分として配合。「飲む」「塗る」「香る」で作用が異なる。現在、Skin、Intimate、Body、Hair、Babyの5つのカテゴリーを扱っており、3月25日にInner Care商品を発売する予定である。
SDGs 環境負荷低減への取り組みとして、容器や販促物すべてにおいて環境負荷の少ない選択肢を採用。ボトルは使用済み製品を再生させたPCR(Post Consumer Recycled)プラスティックを優先。森林の環境保全に配慮し、紙箱には植物残渣を活用した再生紙、ラベルにはFSC認証上質紙を採用している。メディアにも多く取り上げられており、「商品の中身の良さ+SDGs・環境への配慮」を前面に打ち出していきたい。
「Waphyto」は、植物の力を最大限に活かした化粧品の世界展開を皮切りに、地域の発展と人々の健康に寄与する「東三河ブランド」を確立することを目指している。現在、豊橋市植田町に研究室「武蔵精密工業株式会社×M Lab」を設け、日本の高齢化に伴う課題に対し、植物の成分を効果的に高純度で抽出し、化粧品や食品の素材として利用する開発を行っている。植物は自分で薬を作ることが出来るが、人間にはそれが出来ない。植物の高機能性成分は、人間の健康を守るために大変重要なものである。これから各種研究を重ね、エビデンス化し、東三河を「薬草のまち」にするとともに、高齢化時代に欠かせない商品開発を行っていきたい。また、「研究・開発・量産」を目的に、豊橋技術科学大学や奈良先端科学技術大学院大学と連携していくとともに、地元豊橋の「食と農」にも深く関わっていきたい。
※当日は、参加者全員にWaphytoの試供品が提供されたほか、血液サラサラ、抗がん作用のあるInner Careの試飲も行われた。