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産学官民交流事業

2021.07.20 第441回東三河産学官交流サロン

1.開催日時

2021年7月20日(火) 18時00分~20時30分

2.開催場所

ホテルアークリッシュ豊橋 5F ザ・グレイス

3.講師①

愛知大学短期大学部 ライフデザイン総合学科 教授 須川 妙子 氏

 ◎テーマ

『日本の菓子文化における三河人の活躍』

  講師②

シャボン玉石けん株式会社 取締役 営業本部本部長 松永 康志 氏

 ◎テーマ

『中小企業のSDGsの実践事例と課題~企業理念の重要性』

4.参加者

79名(オンライン参加 9名含む)

講演要旨①

私は食品・料理を文化の視点から捉える研究を行っており、本日は「菓子税」を全廃へ導いた三河人、横田善十郎についてお話しさせていただく。
菓子税とは、明治18(1885)年に公布された「菓子税則」であり、背景としては国産砂糖の保護、軍部拡張の資金調達があった。菓子税には、免許鑑札料、営業税、製造税という3重の税が課されていた。この重税により、三河では300軒が廃業した。
これを受け、明治22~26年に横田善十郎を中止人に廃止運動が起こり、請願数は貴族院135、衆議院146に、また記事数は朝日62、日出55にのぼった。この結果、明治29年に廃止となったが、この菓子税全廃運動により、お菓子の文化が今日まで継続したと言える。
横田善十郎は、愛知県吉田(現・豊橋市)の横田(屋)甘露軒の次男として誕生した。横田(屋)甘露軒は、江戸末期、利休饅頭に対する允許状を得る老舗であった。明治17年に陸軍御用商人、町会議員2期、市会議員1期、県会議員1期などを務め、大正11年逝去した。
菓子税全廃の請願に係るほとんどの記事に横田善十郎の名前が出ており、連名の場合も筆頭。欠かせない人物で、運動のトップクラスに存在していたことがうかがえる。
菓子税廃止後の菓子業界では、「愛国生命」創設(菓子商、従業員の保護)、品評会・博覧会の開催(菓子研究)、審査員選出範囲の拡大(菓子の多様性の認識)、量産量販体制の確立(和洋駄菓子の一般化、輸出による増収)などが行われたが、「横田」の名は一切出てこない。
歴史や文化史は伝承されてきたが、それに関わった人を軽視してきた。文化や歴史が守られることに人が関与している。歴史は人と関連付けた記録が正しい。正確な記録の伝承は、地域文化・日本文化への愛着、地域文化継承者の育成に繋がる。物事を伝えるだけでなく、「こんな人がいた」ということを伝えていくことが重要である。
豊橋には「お菓子の神さま」(中島神社)がいらっしゃる。三河は「お菓子」について重要な役割を果たしている。『お菓子のまち三河』と言っても過言ではない。

講演要旨②

シャボン玉石けん株式会社は北九州市若松区に本社・工場があり、石けんなどの家庭用品、消火剤の製造販売を行っている。創業は1910年、従業員は140名弱。北九州市は、SDGsの未来都市に1年目より認定されている都市。当社の企業理念は「健康な体ときれいな水を守る」、環境方針は「我々は、健康な体ときれいな水を守るため、人と環境にやさしい商品づくりを通して、社会に貢献し地球環境の保全を図り、次の世代に住み良い地球と社会を残すよう努めます」である。企業理念は非常に大切であり、重要であり、自分自身の心の支えにもなっている。
北九州市は、1960年代は「公害都市」であったが、現在は公害を克服した「環境都市」と認識されている。1960年代の高度成長期には「合成洗剤」を販売していた。しかし、取引先である国鉄からの錆のクレームと当時の森田社長自身の湿疹が無添加石けんで治癒したことにより、1974年から合成洗剤から「無添加石けん」の製造販売に方向転換した。全国で講演会を開くなど石けん普及の啓発活動に取り組んだが、月商が1000万円から78万円に、従業員も100名から5名へと減少した。非常に苦しい時代が続いたが、18年目に黒字化を達成した。1991年に書籍「自然流せっけん読本」を発行して、石鹸の良さを知らしめた。また、1999年には「買ってはいけない」という本が売れて、弊社の石けんは「買ってよい商品」として紹介され、売上を伸ばした。また、坂本龍一氏の舞台協賛により、ファンの間に石けんが広まった。現在のグループ売上は、環境に良いもの、肌にやさしいものを求められるようになっているので順調に伸びている。石けんを普及させることが社会貢献に繋がるということで、自信を持ってやっている。
「無添加せっけん」とは、主成分が「石けん」のみで、肌にやさしい、環境にやさしいという特徴がある。1つの石けんを1週間から10日間かけて作っている。舌で石けんを舐めてPH値を確認する行程もあり、安心安全な商品である。合成洗剤が入った水槽では合成界面活性剤により魚は3分で死んでしまうが、石けんが入った水槽では濁っているものの魚が悠々と石鹸かすを食べている光景が見られる。また、石けんの技術を活用した「消火剤」の製造販売も行っており、インドネシアの泥炭火災にJICAと共に取り組んでいる。弊社は、無添加石けんをコアコンピタンスとして、医療介護、海外などへの事業展開に積極的に取り組んでいる。
弊社の強みは、企業理念と事業が直接連動していること、地域密着を大切にしていることが挙げられる。製造業なので、SDGsの全てのゴールを達成しようということを目指して取り組んでいる。2018年12月に17ゴールとマッピングを行い、2019年1月に社内でSDGsを宣言。その後、外部講師、カードゲーム、ポスター貼付などで社内の理解を深め、SDGsに関する様々な取り組みを行うことにより外部講演やメディア取材の機会を得て、会社のPRに繋げている。
弊社はSDGsのためにやっているのではなく、企業理念、ビジョンを達成するための補完的意味あいで取り組んでいる。今までなかった長期的・グローバル・概念などの視点から物事を見るというプラス面があり、他の企業と一緒に取り組むパートナーシップも増えており、SDGsを行うことで失うものはないが得るものは非常に多い。現在、具体的な数値目標を出したり、それを経営に実装していこうという取り組みを行っている。
過去の取り組みをご紹介させていただく。「社会」と「経済」は土台となる「環境」なくしては成り立たない。全てのゴールの達成を目指しているが、特に4・9・17を優先(特に17のパートナーシップを重視)して活動を行っている。
マレーシアのパーム油工場の定期視察(原料の良否、従業員など)、産業廃棄物の削減(しっくいの販売)、1% for Nature プロジェクト(売上の1%を人と環境にやさしい活動に寄付するプロジェクト)、商品の無償提供(子ども食堂など)、自治体連携(北海道における石けん購入に対する助成など)、生態系保全活動(ゴミ拾い、調査・報告活動)、出張授業・工場見学(環境教育)、手洗い・口腔ケアなどの啓発活動、化学物質過敏症「香害」の意見広告・映像の制作、食と健康に関する上映会、パキスタンでの手洗い講習と商品提供、ミャンマーでの井戸建設支援、森林火災用石けん系消火剤などを行っている。この結果、環境省グッドライフアワードで「環境大臣賞」を受賞するに至った。
行政との取り組みでは、2019年に北九州市とSDGsを軸とした感染症予防対策に係る包括連携協定を締結した。また、産学官民の地域の感染症対策、私のSDGsコンテスト、子ども食堂に協賛・ボランティア参加、産学連携による研究データの発表、社内での働きやすい環境づくりなども率先して行っている。SDGsへの取り組みにより弊社へ応募する学生が増えているのも成果の一つである。
SDGs取り組みのメリットとしては、①ステークホルダーからの評価、②協業・連携(パートナーシップ)の強化、③社内体制の強化、④広報機会の創出、⑤ビジネスチャンス、⑥リスク回避がある。
今後強化したい主な取り組みは、①SDGsを経営戦略や事業に実装、②SDGsの概念を取り入れて、現在の活動の継続と向上、③環境教育の強化、④北九州市など行政との連携強化、⑤病院・大学・NPO・NG0団体・市民・企業などパートナーシップを強化することである。
弊社でSDGsを推進しているのはマーケティング部(商品開発、広告、広報)で、5人のうち1名が兼業で中心となって取り組んでいる。小さな会社でも出来るので、是非取り組んでいただきたい。