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産学官民交流事業

2022.04.26 第450回東三河産学官交流サロン

1.開催日時

2022年4月26日(火) 18時00分~20時30分

2.開催場所

ホテルアークリッシュ豊橋 5F ザ・グレイス

3.講師①

豊橋技術科学大学 学長特別補佐(社会連携担当)・教授 加藤 茂 氏

  テーマ

『干潟を測る・知る』

  講師②

ジャパン・トゥエンティワン(株) 執行役員豊橋本社支配人 加藤 正純 氏

  テーマ

『宇宙ビジネスの可能性
 ~衛星画像の解析が実現する新視点の水道インフラ管理~』

4.参加者

78名(内、オンライン参加者 11名)

講演要旨①

 豊橋技術科学大学は、「地元地域から愛される大学、地元地域に貢献する大学」を目指し、大学の資産を生かし、地域社会に貢献できる枠組みの構築に取り組んでいる。主な枠組みとしては、大学と地域を繋ぐ窓口としての機能充実、並びに情報発信・収集を行う「サテライトオフィスの活用」、関連団体との連携強化や多文化共生社会実現のための「街中活動の充実」、多様なニーズに応えるための「リカレント教育、人材育成プログラムの拡充」を連携させ、地域の課題解決や地域創成に資する活動の実施を目指している。
 社会貢献活動の具体例としては、自治体等・地域団体等との連携、社会人向け実践教育プログラム・リカレント教育、市民向け・高校生向け・小中学生向け講座、講師派遣などがある。最近は、地域に根差した人材育成・産学連携として、会社等で苦慮されている人材育成の支援、工学部の特性と生かした実習を含めた研修プログラムの作成・実施など、民間企業等のニーズに対応したオーダーメイド型の新たな人材育成事業も行っている。また小中学生向け講座では、理系離れへの対応、理科への興味を掘り起こし、工学系での女性活躍など、理科系人材の発掘・育成を目的としている。
 日本は、海に囲まれ、沿岸の限られた地域に、人口、経済活動、財産が集積している。また、港は物流拠点、海運は重要な輸送手段となっているが、高潮、高波浪に加え、地震による津波など海岸災害の心配がある。海(干潟)を測る/知る意味・目的は、①海からの脅威・災害に備える(防災)、②海(沿岸域)の安全な利用を図る・管理する、③海の環境を管理・保全することである。近年では、CO2の新たな吸収源/Blue Carbonとして、沿岸域の可能性に期待が高まっている。
 干潟の環境は、時々刻々と変化している。干潟で何を測るのか?目的は地形変化を把握することであるが、そのためには地形、変化を引き起こす外力(波、流れ、水位変化など)、砂の移動を測る必要がある。地形を測るための「測量学」(測地学)は、土木工学ではほぼ全ての分野に関係する基礎的かつ非常に重要な知識であり、最近では、空や宇宙から“機械の目”で見て測る、デジタル化、電子化の技術が進んでいる。UAV(無人航空機,ドローン)もその1つである。
 UAVで干潟の地形を測り、DEM(数値標高モデル)を作成して干潟の全体像を把握し、その地形変化解析を行うと、干潟の侵食域・堆積域の変化、断面形状の変化、頂部位置の追跡と周辺の土砂量変化などを把握することができる。また、波、流れ、濁度の観測では、日々の規則的な変化(潮汐)と台風による局所(短期)的かつ急激な変化が生じていることがわかる。
 今後の地球温暖化は、干潟などの沿岸環境に大きな影響を及ぼすと考えられる。IPCC第6次報告書では、最近10年間(2010-2019年)における世界の温室効果ガス排出量は、過去のどの10年間よりも高い数値であり、このままではこれまでの「2100年に平均海面が最大82㎝上昇」よりも、さらに海面が上昇するとの予測もある。海面が上昇すると、干潟上での土砂移動環境の変化、それによる地形の変化や干潟の消失、干潟の生物環境や水質浄化機能の変化、CO2削減効果への期待の低下などが危惧される。
 開発と保全のバランスが大切であり、三河湾・三河港への地域の期待に応えられるよう、調査・研究を継続していきたい。

講演要旨②

 ジャパン・トゥエンティワン株式会社は、2016年に本社機能を東京から豊橋へ移転。モビリティ関連業務を中心に、8名でスタート。本日は、①宇宙ビジネスの現況、②水道行政を取り巻く現況、③衛星ガイド方式による漏水検知、④今後の展望&まとめ、の順番でお話しさせていただく。
 宇宙サービスには、「宇宙に展開するサービス」(ロケット、ホテル、月面走行自動車など)と「地球に展開するサービス」(衛星、カーナビ、データを活用した通信事業など)の2系統がある。「衛星データ」とは、人工衛星から取得したデータであり、画像データと共に目で見えるもの、目で見えないものなどあらゆる情報が含まれている。これらのデータを使ったビジネスが「衛生データビジネス」である。
 味の素のマーケティング部門は、商品「回鍋肉」の販促にあたり、キャベツ価格の低下、キャベツ収量のピーク時予測などを、衛生データを活用して行っている。水道管の耐用年数は40年で、全国で年間2万件以上のバースト事故が起きている。愛知県豊田市全体の水道管の長さは3,656㎞であり、年間の調査・補修は20㎞が限界であった。漏水の判別は、バーストで直接水が漏れるもの、使用量の検針結果から分かるもの、漏水の音聴調査で分かるものがある。
(※弊社が提案する「衛星ガイド方式」を紹介した名古屋テレビ「アップ」の動画を再生)
 UTILIS(ユーティリス)社は2013年に設立され、2021年にASTERRA(アステラ)へブランド名を変更。イスラエルに本社を置き、衛星の画像解析を通して漏水を検知する技術を持っている。一般的な音聴漏水検出は、人が全面を歩いて調査するため時間やリソースが多くかかってしまうが、アステラを使用した場合は漏水箇所を絞り込んで調査するので、圧倒的な合理化、効率化が図れるプロダクトとなる。世界60ヵ国で430以上のプロジェクトを完了しており、32,000以上の漏水箇所を発見し、年間3,100万㎥以上の漏水量を削減している。国内での採用動向は、2021年6月に豊田市が国内で初採用となり、現在300超の事業体から引き合いがある。2022年度は約20の事業体と契約を締結する予定である。トピックとして、中部圏3市、甲信越圏3事業体、県庁による一括見積依頼などによる「協調発注形式」があり、広報面の協力などを条件に弊社側でボリュームディスカウントを行っているケースがある。なお、2023年度は30超の事業体と予算化に向けて調整中である。
 音聴調査と衛星ガイド方式の比較をすると、発見漏水数は1日1人あたり1.76件以下に対し6.1件以上増加、1漏水発見距離数は3㎞毎に対し300m毎に短縮、調査サイクルは1~4年毎に対し四半期毎に短縮できる。アステラの漏水検知プロセスは、①衛星画像の取得、②ラジオメトリック補正(輝度・反射率等)、③アルゴリズム分析(手順・計算方法)、④データ提供である。アステラでは、JAXA「だいち2号」のLバンド帯のレーダー(枝葉を透過し、地中3mまで浸透し、水の誘電特性に対して高い感度あり)を主に使用している。
 弊社が提供するサービス「アステラ・リカバー」は、漏水可能性エリア(POI)をレポートする。半径100mの範囲内でPOIを特定し、水道事業者の管路GISデータをベースにハイライト。豊田市に評価いただいた点は2点で、大幅な時間短縮(5年⇒7ヶ月)と調査エリアの絞り込み(1/10)である。事業化となった場合、①自治体から水道管路のデータを入手、②衛星データを用いて都市全域の画像データを取得、③画像解析後に漏水可能性エリアに番号を付けデータを提供、という流れになる。
 今後の展望として、官公庁の認知が広がっている。厚生労働省(所管:上水道)が「水道事業のIOT化」を補助対象としたこと、総務省(所管:自治体の企業体)の「水道の広域化」の推進、経済産業省(所管:工業用水)の先進技術紹介イベントでの発表機会、財務所(所管:自治体融資)の自治体向け「経費削減・予算圧縮 好事例カタログ」における紹介などの動きがある。
 まとめとして、①今後の衛星データ活用の広がりに期待、②広域化・デジタル化によるスマートな水道行政の実現、③事業推進における日本の地域特性への気付き・経験の蓄積、④来期1億円のビジネスにする、以上4点を挙げる。限りある水資源は、先端技術を以って、オレが守る!