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産学官民交流事業

2022.09.20 第455回東三河産学官交流サロン

1.開催日時

2022年9月20日(水) 18時00分~20時00分(※時間短縮)

2.開催場所

ホテルアークリッシュ豊橋 5F ザ・グレイス

3.講師

一般社団法人中部SDGs推進センター 代表理事 戸成 司朗 氏

  テーマ

『SDGsを羅針盤に企業の持続可能戦略を考える~未来から選ばれる企業になるために~』

4.参加者

66名(内、オンライン参加者 19名)

講演要旨

 現在の社会の延長には未来はない。グレート・リセット!世界の歴史の転換期(持続可能な社会を求める時代)である。SDGsとは、より良い世界を目指す上での2030年のあるべき姿を書いた文書である。世界や地球が持続可能であるために、人類・企業・行政がどうあるべきかの具体的なアクションプランがSDGs(=未来への羅針盤)である。背景にある世界の2大リスクは「気候危機」(石油依存社会からの脱却)と「格差危機」(世界は国際協調によるルール社会へ)である。経済成長だけを求める資本主義から、地球を守り人類の公正を求める新しい資本主義への転換が始まっている。財務情報だけの企業評価の時代は終わり、環境リスクへの対応、人権・社会的リスクへの対応、成長性の高い分野(環境、健康、安全、エネルギー、DX、モビリティ)への挑戦をしているか、ESG経営による評価が当たり前になっている。ESG経営はサプライチェーン全体で報告することが求められており、上場企業だけの問題ではない。「三方良し」という言葉があるが、私は顧客、株主、社員といったステークホルダー7つに「未来」を加えた「八方良し」へと言っている。
 日本は、世界の売上高企業ラインキング、時価総額ランキング、一人当たりのGDP、一人当たりの労働生産性、実質的に下がり続ける賃金、貧困率の高さと格差の拡大、社会資本の老朽化などを見ても、もはや先進国ではない。SDGsを考える前提として、日本社会が持続可能性に「赤信号」を灯していることを理解すべきである。
 日本は何を間違えたのか?過去の成功体験から抜けず、世界・社会がどこに向かうか展望せず、中国・韓国・台湾が従来市場を席巻し欧米は知識集約型産業へ転換するなか、日本企業は現状維持の「ゆでガエル」になっている。日本企業のROE(株主資本利益率)が低いのは、そもそも稼ぐ力「営業利益率」更には「売上総利益率(粗利益率)」が低いからであり、ROEを上げるための自社株買いは解決にはならない。価格決定力に必要なのは圧倒的に「技術力」だとアンケートで答えているが、日本企業は研究開発費が少なく、人的投資の低さも目立つ。
 SDGsは、100年に一度の社会の在り方を根本的に変えることを求めているパラダイムシフトである。大きな変革期こそ再生のチャンスである。再生の3つの視点として、企業はSDGsが求める社会課題を解決する革新的商品・サービスを開発して世界に提供すること、市民は分断を生む近年の「自助型社会」からお互いが助け合う「共助型社会」により社会維持経費の上昇を抑えること、行政はこれらの活動を阻害する要因を排除し、更に構造改革が進むように支援することである。「新しい資本主義」の4つの柱は、人、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX及びDXへの投資であり、無形資本への投資と分配による成長を期待している。再生へのシナリオとしては、人的資本と知的資本への投資の強化、日本経済の高付加価値産業への構造転換による高収益企業の誕生、賃金の上昇による個人消費の活発化、税収増による財政安定化、社会保障の安定化による国民の将来不安の解消による更なる好循環へのサイクルへ、が考えられる。日本の昔からのことわざに「稼ぎに追い付く貧乏無し」がある。経費を減らすことより、どうやったら稼げるかを考えるべきである。日本経済に求められているのは、根こそぎ入れ替える「創造的破壊」である。
 企業は何故、SDGsに取り組むのか?それは「リスク」と「機会」の2つの視点からである。SDGsは社会の矛盾・課題の宝庫であり、それ故にビジネスチャンスの宝庫である。SDGsが示す2030年の市場規模は、モビリティシステム、新しい医療ソリューション、エネルギー効率、クリーンエネルギーなどが高くなっている。新たな市場の誕生に注目し、発想を転換することが大事である。世界が向かう持続可能な社会づくりに貢献する事業領域への構造転換が必須である。SDGsを事業の外にある活動、世の中に対する広報活動だと捉えると企業は滅びる。SDGsから見える将来産業、知識集約型「高付加価値産業」への転換を、メーカー、流通業、サービス業で取り組む必要がある。今こそ、企業の構造改革のラストチャンスである。
 2030年からバックキャスティングして我社は今後どうありたいのか、どんな会社を目指すのか「ありたい姿」に向けパーパス(存在意義=志)を明確にする時である。パーパス無き企業は羅針盤無しに大海原で航海する船のようなものである。コアコンピタンスとは、我社のビジネスが成り立つ理由であり、「選ばれる」わけを明確にしておく必要がある。コアコンピタンスの裏付けの無いパーパスは絵に描いた餅であり、コアコンピタンスがパーパスの実現に向けた起点になる。
 SDGsは、企業を根本から作り変えるCX(コーポレートトランスフォーメーション)であり、GXとは脱炭素社会にむけて産業構造の根本的変革が起きること、DXとは企業のビジネスモデルを変えることである。GXとDXは、ドミノ倒しのように1次、2次、…6次産業に波及し、産業構造を根本的に変えることを求めている。SDGsが求めるのは、自然資本、人的資本、知的資本、社会関係資本という4つの「無形資産」強化の構造改革である。
 SDGsには、5つの「P」という、Planet(自然と共存して、地球の環境を守る⇒事業活動での地球環境との共生の取り組み、自然と向き合う新たなビジネスモデルの構築)、Prosperity(経済的に豊かで安心して暮らせる世界にしよう⇒科学技術イノベーション(STI)が必須、顧客データや技術データは勿論のこと暗黙知を形式知へ「リアルのデータ化」、世界の客観的な情報を集めるレーダー強化でIPランドスケープ(知財解析経営戦略)の推進)、People(貧しさを解決し、健康でお互いを大切にしよう⇒国連「ビジネスと人権に関する指導原則」から世界的な人権に対する厳しい環境にどう対応するか、SDGsの目指す我社の「ありたい姿」の実現に向け、最大の資本である社員のスキル・知識・能力・モチベーションをどう高めていくか)、Partnership・Peace(争いのない平和を知ることから実現しよう、いろいろな形でみんなが協力し合う大切さ⇒社会・地域の人々とのつながりネットワークを創り、企業・社員の社会感度をどう高めるか、社会・地域から信頼され、愛されるための会社のブランディング)があり、企業の強化すべき4つの資本と親和性を持つ。
 自然資本の強化として「自然を恐れ敬い自然と共に生きる」、人的資本の強化として「「道」を究める。基本(型)を学び、基本を壊し(くずし)、新たな創造(新境地を拓く)を生み出す」、知的資本の強化として「色々な知識・異文化を吸収し混合・編集する」、社会関係資本の強化として「「和」を持って成し、皆で助け合う「結」の伝統」、が挙げられる。
 持続可能な企業は、顧客にとって常に必要だと気付かせてくれる提案をしてくれる、投資家にとって常に新しい期待を持たせてくれるビジョンがある、社員にとって常に好奇心と成長を感じられる企業風土を持っていることである。成功への鍵は、①尖った企業になること、②意味のある製品・サービス、③コアターゲットの明確化、④グローバルニッチを攻める、⑤価格競争に別れを告げ、オンリーワンの企業へ、の5つである。
 Well-Being(良く在ること、幸福)とSDGsは密接な関連性が見られる。新たな成長軸に「全ての人と社会が実感できる持続可能な豊かさの追求」を置く。SDGsは、社会構造、企業構造を根本的に変えることを求めている。本当の幸せとは、文明的豊かさを求める生活から、文化的豊かさを求める生活へ変えることである。会社の中での自分の人生から、自分の人生における会社の意味を考え、先ず自分のパーパス(志)を決めることが大切である。
 企業は今、重大な転換期を迎えている。SDGsもどきのやったふり宣言をしないこと、変革期こそ我社の「あるべき姿」を明確化すること、SDGsを羅針盤に企業は構造改革を経営戦略までに落としたSDGs宣言を社内創意で設定することが必要である。本気でSDGsに取り組み、宣言を社内外にコミットする時である。今こそ原点、今こそ未来!