2026.9.29 第503回東三河産学官交流サロン
1.日 時
2026年9月29日(火)18時00分~20時30分
2.場 所
ホテルアークリッシュ豊橋 4F ザ・テラスルーム
3.講師①
愛知工科大学 工学部情報メディア学科 准教授 久徳 遙矢氏
テーマ
『コンピュータビジョンの世界と自動運転への応用』
講師②
(株)ハクヨプロデュースシステム 代表取締役社長 笠原 盛泰氏
テーマ
『豊川駅前ビジネスと交流の拠点「FRONTIS TOYOKAWA(フロンティストヨカワ)」のプロデュースについて』
4.参加者
68名(オンライン参加5名含む)
講演要旨①
本日は自動運転関連の話題から始める。人間は車を運転する際、まず周囲を見て、歩行者の存在などの状況を認知する。このとき、例えばガードレールの切れ目に居る歩行者が道路側を向いていた場合、「この人は横断するかもしれない」と判断する。その後通常のドライバーであれば、減速や、少しマージンを取るような操作を行う。このように、認知・判断・操作を繰り返しているのが運転である。自動運転車の場合も基本的には同じであり、機械が認知・判断・制御を繰り返すことができれば、自動運転が可能になる。
自動運転にはレベルがあり、レベル1は衝突被害軽減ブレーキや前走車追従機能、車線維持支援機能など、アクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のいずれかを部分的に自動化するものである。レベル2は、これらを組み合わせた機能やごく限られた環境下での自動走行機能である。ただしこれらはあくまでも運転支援にとどまり、所謂自動運転と呼ばれるのはレベル3以上であり、現在、国産の市販車では存在しない。バスやタクシーなどについては、最近はレベル4程度まで認可され動き始めているものもあり、徐々に法整備も進んでいる。
私の研究対象である車両周辺環境認識は、自動運転システムの中では主に認知の部分である。人間は主として目や耳を使って周囲を認知しているが、この認知の部分がカメラや距離センサーなどに置き換わることになる。カメラは、我々がいる3次元空間の情報を画像として取り込む。また、実験車両はカメラだけでなく様々なセンサーを搭載しており、通常の車では得られない多様なデータを取得できる。このような多様なセンサーで取得したデータを人間が見れば、そこに車がいる、電柱がある、建物があると簡単に分かる。しかし、それは人間の認知能力が非常に高いからである。機械にとっては、ここが黄色い、ある距離のこの位置に何かがある、といった情報の集合に過ぎない。認知するためには、これらの情報をもとに、何が存在しているのかをAIが把握しなければならない。これがコンピュータービジョンの仕事である。
AIによる認識技術が発展している一方で、自動運転システムは事故を起こすこともある。人間も判断を誤れば事故を起こすのと同じで、AIも間違うことがある。また、現在動いている自動運転システムで事故が起きた場合、責任がどこにあるのかという問題もある。ドライバー側の責任が問われる場合もあるが、安全性を強調して販売する側の責任についても議論されている。大阪・関西万博でも自動運転バスの事故が話題になったように、技術が十分に成熟しているかを見極めながら実用化を進める必要がある。
自動運転の仕組みは、大きくモジュラー型とEnd-to-End型に分けられる。モジュラー型は、認知・判断・制御について、障害物検出や車線検出、歩行者や車両の検出、信号認識などの様々なモジュールを動作させる。それらを組み合わせて、右折したい、歩行者がいる、車線はこうなっている、といった情報をもとに判断して動かすシステムを構築する方法である。
最近、主流になりつつあるのは、それまで個別に処理していた機能をひとつのAIにまとめる、End-to-End型と呼ばれる方式である。これは、入力されたセンサー情報をそのまま自動運転モデルに入れ、「センサーから得られたデータはこうだった。では、どう動くか」をひとつのモデルが判断する。従来のように「こうしたいから、こうして、こうする」と考えるのではなく、「このような風景だから、このように動く」と判断する考え方である。これが流行し始めた背景には、深層学習の著しい発展がある。ただし、個人的には、人命に関わるものなので、このタイプだけで動かすことにはリスクがあると感じている。
車に搭載されるセンサーには、それぞれ異なる特徴がある。可視光カメラは私たちが見ている世界を捉える。赤外線カメラは人間には見えない世界を見ることができる。LiDARは距離を測定するセンサーであり、近赤外線を飛ばして、跳ね返ってくるまでの時間から距離を測る。さらに、電波で距離を測るミリ波レーダーや、超音波で距離を測るソナーもある。しかし、1つであらゆる環境・対象に対応できるセンサーはない。それぞれに得意・不得意があり、色を取得できるか、距離を取得できるか、夜に使えるか、雨のときに使えるかなどの特性が異なる。LiDARは何でもできるような印象を持たれているが、近赤外線レーザーの反射を利用する以上、土砂降りや濃霧では周囲の水分に反射して見えにくくなり、砂ぼこりも同様である。遠赤外線カメラは熱を捉えるため、夜でも見やすく、まぶしさの影響も受けにくい。熱を捉えるので、人や車、エンジンなどを捉えやすい一方で、同じ温度の鉄板は同じ強度として写ってしまい、ナンバープレートの文字を読み取れないなど、遠赤外線カメラだけですべてを認識することはできない。したがって、さまざまなセンサーをうまく組み合わせていく必要がある。
可視光カメラを使った物体検出では、人や車などをリアルタイムに検出できるようになっているが、実際は依然として多くの誤りを含む。実際に物体検出手法を車載カメラ映像に適用してみると、最先端モデルであっても、建物の構造や路面のポールを歩行者と認識したり、動物や落下物などの想定外のものを認識できなかったりするなど、人間が見れば容易に判断可能である対象でも、認識を誤ってしまう。さらに、人間が見ても分かりにくい状況は、当然AIにとっても難しい。例えば夜間の豪雨では、前方車両も対向車両も見落とすケースがある。このように白飛びや黒潰れ、歪みなどが生じた画像は、物体形状などの情報がそもそも欠落しているため、このようなデータからAIが障害物を見付けられないのは当然である。このように、AIは確かに非常に進歩しているが、最先端のモデルであっても十分ではない。そして、例のように路面のポールを人と認識(誤検出)した場合、自動運転車は安全確保のためブレーキを踏む可能性が高い。一方同様に例のような周囲の原付や隣を走る車の見落とし(未検出)があると、衝突の危険が生じる。このような状態を考えると、まだまだ技術を高める必要があると考えている。なお、うまく認識できない状況であること自体を、カメラの情報から認識しようという研究も行われている。また、LiDARが周囲の状況を観測し難いという情報から、逆に現在どのような条件下であるのかを認識しようという研究もある。また、同様に天候などの周囲の状況を、カメラ、レーダー、LiDARを組み合わせて認識する研究も登場した。
以前から取り組んでいる研究のひとつに、何らかのトラブルが発生したとき、人間に運転を引き継ぐ場合の支援がある。レベル4程度の自動運転では、人間に制御を移す場面が必要になる可能性がある。しかし、突然運転を任されても、人間はすぐに状況を理解できない。特に、自動運転車でよく利用されるLiDARから得られる距離情報は、そのままでは人間が直感的に理解しにくく、カメラ画像のみでは周囲の3次元的な情報を瞬時に把握することが困難である。そこで、距離情報に色を付けることで、人間が瞬時に状況を把握し、運転を引き継ぎやすくする研究を行っている。
さらに、前方が見えないのであれば、人間による運転のように減速したり停止したりすれば良い。そこで、「今の認識結果は信頼できない」と自分自身で判断できるAIを作る研究を行っている。例えば、「x人いる」と判断するだけでなく、「x人を認識したが、さらに見落としている人が居る可能性がある」とAI自身が判断できるシステムを実現することが現在のメインテーマのひとつである。加えて、対向車のライトでまぶしい領域では遠赤外線カメラを使い、可視光で十分に見えている場所では可視光カメラを使う、といった判断をAIにさせる研究を進めている。
また、自動運転車は、自車がどこを走っているのかを把握しながら進む。一般的には、自動運転車は30~50cm程度の精度で自分の位置が分かっていなければならないと言われている。これは、タイヤの半径程度の誤差であれば、周囲にぶつからずに進んだり、車線からはみ出さずに走行したりできるという考え方である。一般的なGPS、つまりナビやスマートフォンに入っている位置取得手段は、数メートルから数十メートルずれることがある。通信を利用して精度を上げる方式でも、数メートル程度ずれる場合がある。そこで、あらかじめ地図を用意し、その地図と現在の情報をマッチングして、今どこにいるのかを正確に推定する方法が使われている。実験車両で道路を走行すると、道路周辺の3次元点群の地図を作ることができ、その地図と現在の風景を照らし合わせることで位置が推定可能となる。現在、実証実験を行っているような自動運転車の多くは、このような方法を利用している。この場合走行時にLiDARが必須となるため、我々はカメラ情報を3次元点群地図とマッチングし、現在位置を求める研究も行っている。
ここからは、私が自動運転以外の分野で行っている研究を紹介する。ひとつはシイタケ農家を支援する研究である。シイタケをカメラで撮影することで、品質の良否やサイズなどを判定できないかという研究である。シイタケは果物のように転がして検査することが難しいため、画像を使って非接触で品質を評価できるようにすることを目指している。
また、ロボットが人間にとってフレンドリーな存在になるための研究も行っている。例えば、人が髪を切ったことや、疲れていることなど、身近な人であれば気付くような変化をAIが認識できないかという研究を行っている。これも画像から状況を認識する技術の一種である。スポーツ映像解析にも取り組んでいる。最近のAIでは人間の姿勢を推定できるようになっているため、その情報を利用して、どのように動けば上達するのかを分析できないかという研究を行っている。産学連携についても、画像処理やAIの技術を企業の現場の課題解決に応用する形で実施している。
最後にまとめると、世界の自動運転は、モジュラー型よりEnd-to-End型が主流になりつつある。ただしセンサー構成については、ひとつのセンサーだけで自動運転を実現することは難しいと考えている。それぞれのセンサーには得意・不得意な領域があり、状況によって見えるもの、見えないものが変わる。したがって、様々なセンサーを状況に応じて適切に組み合わせていく必要があり、そうしなければ、事故につながるリスクがあることをお伝えしたい。
講演要旨②
本日は11月15日にグランドオープンする豊川駅前の「フロンティス トヨカワ」という複合施設についてお話ししたい。地元にとっては念願の施設であるが、地方都市でこのような施設を創ることは、事業性の面から実現が難しいものである。苦労しながら、何とかオープニングを迎えるところまで来ている。
最初に会社の紹介をさせていただく。ハクヨグループは1918年の創業で、今年で108年目になる。木材業から始まった会社で、岳父の代から少しずつ事業の多角化を進めてきた。私が入社したのは1984年であり、木材業が構造的に難しくなっていく中で、新しい事業を始めようということで、業態転換を進めてきた。現在は、ハクヨコーポレーション、ハクヨプロデュースシステム、アイレクススポーツライフ、関連会社のハクヨアークス、ハクヨフードサービス、白与興産の6社でグループを構成している。
当社のプロデュース事業については、1989年に、地方都市で「時代に先駆けたスペシャリティモール」として、「アイレクステラス」を手掛けたことがきっかけであった。私はもともと東京で企画会社の経験があり、イタリアントマトにも関わっていたので、そうしたネットワークを活かして最初につくったのがアイレクステラスであり、材木工場の跡地を活用したものである。その後、「アクロス豊川・パティオ豊川 複合商業施設」、「スプリングスひよし 運動・温泉・商業複合施設」、豊川市民病院の跡地の複合生活施設である「マチニワとよかわ」など、これまでに全国11都道府県で81件のプロデユースを行ってきた。
アイレクススポーツライフはスポーツクラブ事業を展開している。豊川市には「アイレクススポーツクラブGRANDE」という3,000㎡の大型の施設があり、名古屋市の覚王山では、プールのない少し高級なスポーツクラブを展開しており、子ども専用の施設も何店舗か展開している。また、24時間営業のビデオショップだった建物を改装した店舗など、ジム・スタジオ型の施設も展開している。豊橋市では、曙町に「アイレクスポーツクラブ豊橋ミラまち」を運営している。直近では、9月に豊橋駅の構内に「アイレクスAIジム」をオープンした。それぞれのマシンにトレーナーとしてのAIが入っており、その人の年齢・体重・柔軟性と要望などに応じて、最適な30~40分程度のプログラムをAIが組んでくれる。ICバンドを付けて入館し、チェックインすると、今日はこれをやりましょうというメニューが出てくる。それに沿って、次はこのマシンというように順番にやっていけば、30分で効果的なトレーニングができる。いろいろなことを考慮しながらAIがプログラムを変えていく仕組みであり、韓国のメーカーと共同で開発していて、日本で初めての実験的な取組である。現在、「アイレクススポーツクラブ」は29店舗あり、愛知県内だけでブランドを展開する地域密着のドミナント戦略で進めている。
ここから本題の「フロンティス トヨカワ」について話をする。「フロンティス トヨカワ」は、地上12階建ての複合ビルである。高さは45.89メートル、敷地面積は約2,360㎡、延床面積は8,135㎡の鉄骨造で、事業主体は名鉄都市開発株式会社である。当社は総合プロデュースという形で関わっており、設計・施工は地元ゼネコンのオノコム・中村建設特定建設工事共同企業体で進めている。場所は豊川駅前のロータリーの正面に位置し、外観にサインも入っていて、豊川駅前のランドマークとして見てもらえるような形になっている。施設の概要としては、ホテルが6階から12階までで、約100室である。2階、3階、4階、5階にはオフィスを配置し、5階の半分を多目的ホール、バンケットの「フロンティス フォーラム」としている。
テナントについては、ホテルは上場企業である東京のサンフロンティア不動産株式会社の子会社のサンフロンティアホテルマネジメント株式会社が運営する。オフィスについては、オーエスジー株式会社が4階のワンフロアと5階の半分を使用する。また、3階には加山興業株式会社と当社グループ会社であるアイレクススポーツライフが本社を移し、2社でワンフロアを使う。2階は、業務用芝刈機・草刈機のトップメーカである株式会社共栄社、ルアーのメーカーである株式会社バスデイジャパン、豊川信用金庫のラウンジ機能を持たせた交流機能オフィスとなる。1階には、コンビニエンスストア、加山興業株式会社の新規事業となるカフェ「エコロクル」、サンフロンティアホテルマネジメント株式会社が運営するレストランとして、ホテルの朝食や多目的ホールで行うバンケットの料理も提供するイタリアンレストランが入る予定となっている。
オフィスのエントランスのコンセプトとしては、雑居ビルに入っているというイメージではなく、それぞれのテナントが自社ビルや自社フロアに入っているように、各社の存在感があるものにしたいと考え工夫している。ビルの壁面に各社のロゴやサインもしっかりと入っており、これも特徴のひとつだと思っている。各オフィスについても、駅前という立地の優位性を、人材確保にも活かしていくという位置付けで、各社創意工夫を凝らしたオフィスとなっている。
ホテルは、高級感を演出しながらカジュアルなクラスで、豊川稲荷を意識して和の雰囲気を取り入れ、素材感なども含めて差別化を図っている。12階のフロント周りも特徴を持たせており、12階には両側に窓のある浴場も設けている。客室は、観光とビジネスの両方で使ってもらうことを想定している。ホテルの稼働率の確保は安易ではないと思うが、豊川稲荷という地域資源があり、72年ぶりの御開帳を契機として豊川に人が集まる拠点となることやオフィスの宿泊需要も考慮して、観光とビジネス的な色を合わせながら創っていった。バンケットについても、地元から小さいバンケットでも良いので、会合や集まりができる場所が欲しいというニーズがあった。そこで、「メインホール」は100名程度の着席が可能で、スクール形式でも対応できるようにして、他に「プライムルーム」という50名程度を収容可能な会議室を設け、前室も含めてバンケット機能を持たせている。
この計画には、構想から6年かかっている。最初は2020年に名鉄都市開発株式会社へ当社の持ち込み企画として提案した。しかし、事業性があるかどうかが問題になり、「本当にオフィスが集まるのか」「ホテルもお客さんが集まるのか」といったことを言われた。こうしたところからスタートして、課題を一つひとつ解決してまとめていき、最後に設計をまとめ、それぞれの事業の方法を整理して、ようやく昨年着工し、今年11月オープンする運びとなった。
この計画の背景には、豊川市のまちの成り立ちがある。豊川市は東三河の第二の都市とも言われているが、もともと海軍工廠があった中心部に大きな工業団地がある。それによって分散してしまい、まちの顔がなかなか見えにくい、中心部がはっきりしないというところがある。人口規模としては愛知県内でも8番目の都市になっているが、企業の本社が郊外に分散してアクセスが悪く、就活生への印象が悪くなる可能性があった。また、門前町のにぎわいについても、何十年と私自身も関わってきたが、定例化した集客が安定しておらず、さらに活性化が必要だということがあった。さらに、ホテルについては豊川市内に良いホテルが欲しいというニーズがあり、バンケットについても同様に結婚式や催しなどかつては使える場所があったが、現在はほとんどなくなりニーズがあった。
場所は、豊川駅東口の駅前で、マンションが3棟建っている間の約700坪の土地で駐車場として使われていた。駅前の区画整理事業が進む商業地域であるが、指定した土地に商業系の施設がほとんどなく、そこもマンションになってしまうことが危惧される状態であった。まちづくりという点から見ても、豊川駅東口から正面に位置していて、門前の3商店街でもまちづくりを進めているので、相乗効果も期待でき、豊川稲荷の方から歩いていくと、駅の向こう側にランドマーク的に見える施設になる点も優位に働くのではないかと考えた。
こうした中で、地域の企業に話をしてみた。企業側からすれば、現在の豊川駅のロータリー前は非常にアクセスが良い。商工会議所や門前の地域へのアクセスも良く、まちづくりという観点からすれば、駅前の活性化は必要である。また、地元企業としても、拠点性や利便性があれば良いという意見があり、条件次第ではあるが、非常に協力的であった。宿泊先としてのニーズにも可能性があり、「豊川企業のビジネスフロント拠点&観光交流まちづくり拠点」というコンセプトを立て、「豊川フロントプロジェクト」を創り上げた。
これをまとめると、①「門前活性化と日常の人流」として、豊川稲荷の初詣に人流が集中し、日常の人流不足があつた。②「豊川本社企業の事情」として、本社が郊外にあり、来客に対する利便性とイメージの良いフロントオフィスが求められていた。③「ホテルニーズ」として、質の良いホテルが豊川市内になく、来客を豊橋市まで送迎するケースがあった。④「バンケットニーズ」として、式場・会場が減り、会合・宴会は豊橋市まで行かざるを得なかった。⑤「駅前エリアのまちづくり」として、1階商業の計画も、実際はマンション3棟のみであり、駅正面の土地は時間貸し駐車場であった、という以上の5点である。
ホテルの誘致については、30社から40社ぐらいに声をかけたが反応が悪く、豊川市のポテンシャルがかなり低く見られている感じがあり、非常に厳しい状況であった。それでも諦めずにいろいろなルートを通じて話をし、サンフロンティア不動産株式会社の創業者であり現在代表取締役会長の堀口智顕氏に豊川市まで来ていただき、豊川の駅前や市内を案内し、想いを伝えていく中で、「可能性はあるかな」と返事をいただいたことが転機となった。また、行政は竹本豊川市長が2期目のマニフェストにホテル・バンケットについての誘致を掲げており、固定資産税の減免という支援策が実行された。まちづくりとして再開発事業のように補助金が少しでも下りないかと検討してみても難しく、結果民間事業で進めることになった。バンケットの運営に関しては、バンケット・結婚式場などの運営会社が見つからなかったため、最終的には当社が責任を持って出店者として賃料を払って、直営で運営することにした。
こうして主要入居・出店者の内定が取れ、デベロッパーとしてまず基本設計を進めることになり、各テナントをほぼ確定させることができた。この段階で重要になったのが、建設費とテナント賃料の事業収支が合うのかということである。企画設計をしている段階では、とにかくコストパフォーマンスを第一にした。デザイン的にも成立させなければならないので、あまり高い素材を使うことはできない上に、オフィスとホテルでは動線を分けなければならなかった。しかし、小規模なビルであるため、動線を分けることが非効率にならないよう法的規制も考慮して工夫を重ねた。しかし、さまざまな収支検討をしたが、なかなか採算が合う数字にならなかった。主要な出資者は名鉄都市開発株式会社であるが、オーエスジー株式会社、豊川信用金庫、加山興業株式会社、当社グループも出資をして、地域貢献の共同事業として最終的に事業化が決定した。
決定後に、着工に向けて資材費や工事費が高騰していったが、何とか工夫を重ねて着工に結びつけ、現在進行しているところである。設計については、当社のスタッフがプロデュースとディレクションを担い、これまでのネットワークの中で知り合った個人の設計士やデザイナーをプロジェクトチーム化し、コストパフォーマンスを上げながら設計していった。
これからの話としては、入居企業の利便性とイメージをどう高めていくかということがある。各社が雇用の促進やイメージの向上に、この場所を役立てていただければと思っている。ホテル事業については、難しいと言われている中で、どのようにしっかりと成立させていくかが課題である。同様にホール・バンケット事業も進めなければならないが、まずは自主イベントも含めて人を集めていきたいと考えている。そして、この施設をきっかけに、門前エリアの活性化と駅前のイメージを向上させたい。単なる複合ビルではなく、常に情報を発信するメディアのような場所にしたい。「フロンティス」という名前は、ラテン語で「顔」や「前面」という意味を持っている。ぜひこれからの豊川のまちの最前線になっていきたいと考えている。






